両家顔合わせの手土産は、絶対に必要というものではありません。用意しなくても失礼にはあたりません。
それでも多くの家が持参するのは、片方だけが手土産を出した瞬間がいちばん気まずいからです。用意しなかった側は恐縮し、用意した側も渡しづらくなります。服装で両家の格がずれたときと同じことが、テーブルの上で起きます。
この記事では、そろえておくべきことから相場、のしの扱い、渡すタイミングと言葉までを整理します。のしの水引は結び切りか蝶結びかで解説が割れているので、その理由と選び方も説明します。
両家顔合わせの手土産は必要?まず決めるのは持参するかどうか
品物を選ぶ前に、両家ですり合わせる必要があります。そろえるのは3つです。
- 持参するかどうか:これがずれると当日その場で分かってしまいます。どちらかに合わせてください
- 金額の目安:片方が1万円、もう片方が3,000円だと、安いほうが引け目を感じます
- 誰が用意して誰が渡すか:二人で用意するのか、それぞれの親が用意するのかを決めておきます
間に立つのは新郎新婦です。親同士が直接やり取りすると遠慮が働いて決まりません。これは服装のすり合わせとまったく同じ構図で、詳しくは両家顔合わせの服装に書きました。
POINT:「手土産はどうしますか」と聞くと、相手は断りにくくなります。「うちは何か持っていこうと思うのですが、そちらはどうされますか」と、自分の予定を先に言ってから聞いてください。相手が「では用意します」と答えやすくなります。
相場は3,000円から5,000円
手土産の予算は3,000円から5,000円程度が目安です。この幅に収めておけば、相手に気を遣わせることはありません。
高ければよいというものではありません。1万円を超えるような品を渡すと、相手は見返りを期待されていると受け取ることがあります。結婚祝いではなく、あくまで挨拶の品だからです。金額を上げすぎると相手の負担になるという構造は、結婚式に出席しないときの結婚祝いで書いたものと同じです。
誰が買うかに決まりはありません。二人が両家ぶんをまとめて用意する家もあれば、それぞれの親が自分で選ぶ家もあります。親が自分で選びたいタイプかどうかを先に確認しておくと、あとで揉めません。
品物の選び方
個包装で日持ちするものを選ぶ
顔合わせの手土産は、その場で開けずに持ち帰るものです。だから日持ちすることと分けやすいことの2つで選びます。
焼き菓子の詰め合わせが定番なのは、この2つを満たすからです。個包装なら家族で分けやすく、切り分ける必要もありません。ホールのケーキや羊羹のように包丁を入れるものは、縁を切ることを連想させるとして避ける考え方があります。
焼き菓子以外なら、次のあたりが選ばれています。
- 個包装の和菓子:最中やどら焼きなど。年配の親がいる家に向きます
- 佃煮や海苔などの乾物:甘いものを食べない家でも困りません。日持ちも長めです
- コーヒーや紅茶の詰め合わせ:好みが分かれにくく、常温で持ち運べます
店選びで迷ったら、百貨店に入っている店にしておくと外しません。包装とのしの相談がその場でできることも利点です。
地元の品は会話のきっかけになる
遠方から来る家なら、地元の銘菓を選ぶと場が動きます。「こちらの名物なんです」から土地の話が始まり、初対面の沈黙を埋めてくれます。
相手の家族構成も見ておいてください。同居している家族の人数、甘いものを食べるか、アレルギーの有無。数が足りない手土産は、かえって気を遣わせます。分からなければ、相手側の本人に聞いて構いません。
避けたい品物
- 切り分けるもの、割れるもの:「縁を切る」「割れる」を連想させます。気にしない家も多いのですが、初対面では外しておくのが安全です
- 日持ちしないもの:生菓子は当日か翌日までのものが多く、持ち帰ってすぐ食べる前提になります
- 重いもの、かさばるもの:相手は電車で帰るかもしれません。瓶詰めの詰め合わせや大きな箱は、その日ずっと持ち歩かせることになります
- 日本茶:弔事で使われることが多いため、慶事では避ける考え方があります。紅茶やコーヒーなら問題ありません
- 冷蔵や冷凍が要るもの:会場で預かってもらえるとは限らず、食事のあいだの置き場所に困ります

のしはつけるか、つけないか
結論から言えば、のしはつけてもつけなくてもかまいません。顔合わせは儀式ではないので、必須ではないのです。
ただ、つけておくと「何のための品か」がひと目で伝わります。形式を大事にする家なら、つけたほうが収まります。ここも両家でそろえておくと、片方だけのしつきという状態を避けられます。
水引は結び切りか蝶結びか|迷うなら結び切り
ここは解説によって答えが割れています。結び切り(あわじ結び)とするものと、蝶結びとするものの両方があります。
- 結び切り派の理由:顔合わせは結婚にまつわる場なので、婚礼の作法に合わせる。結婚は一度きりなのでほどけない結び方にする
- 蝶結び派の理由:手土産は結婚祝いそのものではなく、挨拶に持参する品にすぎない。だから一般の慶事と同じ蝶結びでよい
どちらの理屈も筋は通っています。そのうえで迷うなら結び切りかあわじ結びを選んでください。婚礼の席に持っていく品である以上、そちらのほうが説明がつきますし、大手の解説でも結び切りを挙げているものが目立ちます。地域によっては蝶結びを使う習慣もあるので、気になるなら親に聞くのが確実です。
水引の本数や結び方そのものの意味は、ご祝儀袋の書き方と選び方に整理してあります。結婚祝いののしとの違いは結婚式に出席しないときの結婚祝いを見てください。
表書きは「寿」と「ご挨拶」で意味が変わる
この2つは似て見えて、伝わるものが違います。
- 寿:婚礼のお祝いという意味になります。結び切りと組み合わせるなら、こちらが自然です
- ご挨拶:挨拶に伺った品という意味です。かしこまりすぎたくないときや、カジュアルな会場のときに向きます
名前は名字だけを書きます。フルネームにする必要はありません。のし紙は包装紙の上からかける外のしにしてください。手渡しでその場で見てもらうものなので、外から見えるほうが役目を果たします。

渡すタイミングと渡し方
顔合わせの流れの中で、手土産を渡す場所は決まっています。
渡し方にはマナーがあります。紙袋や風呂敷から品物を出して、袋は持ったまま渡します。袋ごと渡すのは略式とされていて、初対面の場では避けたいところです。
- 相手の正面に向けて:のしの文字が相手から読める向きに回してから、両手で差し出します
- 相手の近くまで行く:テーブル越しに差し出すのではなく、席を立って歩み寄ります
- 紙袋は自分が持ち帰る:袋は運ぶための道具なので、たたんで持ち帰るのが本来です。ただし相手が電車で長時間帰る場合は、「袋のままで失礼します」と一言添えて袋ごと渡して構いません。形式より相手の負担を優先してください
座敷の個室なら、立ち上がって渡すより座ったまま向き直って渡すほうが自然です。手渡しの基本的な作法は結婚式に出席しないときの結婚祝いにも書いています。
会場によって動き方が変わる
- レストランのテーブル席:席に着く前、立っているうちに渡します。着席してからだとテーブル越しになり、渡しにくくなります
- 座敷の個室:座ってから相手のほうへ向き直って渡します。狭い場所で立ち上がると、かえって落ち着きません
- 相手の自宅:玄関では渡しません。部屋に通されて挨拶を済ませてから渡します
受け取った品の置き場所も決めておくと慌てません。座敷なら自分の脇に、テーブル席なら足元か、店の人に預かってもらえるか聞いてみてください。テーブルの上に載せたままにすると、料理が並び始めたときに動かすことになります。

渡すときに添える言葉
黙って差し出すと事務的になります。一言あるだけで印象が変わります。
- 渡すとき:「心ばかりですが、皆さまで召し上がってください」「地元の銘菓です。お口に合うとうれしいのですが」
- 受け取るとき:「ご丁寧にありがとうございます」「喜んで頂戴いたします」
「つまらないものですが」は今も使われますが、初対面の相手には言葉どおりに響くことがあります。「心ばかりですが」のほうが角が立ちません。

よくある質問
Q. 手土産なしで行くのは失礼ですか?
失礼にはあたりません。決まりごとではないからです。問題になるのは片方だけが持参したときなので、両家で「今回はなしにしましょう」と決めてあるなら、なくてまったく構いません。
Q. のしの名字は、誰の名字を書きますか?
渡す側の名字です。親が渡すなら親の名字、二人で用意して二人から渡すなら、それぞれの名字を書いた2つを用意します。結婚後の名字を先取りして書くことはしません。
Q. 遠方から来る親の手土産はどうしますか?
地元の品を持って移動するのがいちばん喜ばれますが、日持ちと重さが問題になります。会場近くの店に取り置きを頼んでおく方法もあります。新幹線や飛行機で移動するなら、常温で持ち運べるものを選んでください。
Q. 結納をする場合も手土産は要りますか?
結納品とは別のものなので、用意して構いません。ただし結納は儀式として進行が決まっているので、渡す場所を式次第のどこに入れるかを先に決めておいてください。会場に相談すれば流れを教えてもらえます。
Q. 妊娠を報告する席でも手土産は同じですか?
同じで構いません。手土産の中身や金額を変える必要はありません。ただし報告そのものをどの順番で伝えるかは別の問題なので、授かり婚の妊娠報告を先に読んでおくと段取りが立てやすくなります。
Q. 当日の服装はどうしますか?
会場の格に合わせ、両家でそろえます。手土産と同じで、そろっていないことだけが問題になります。会場別の目安と立場ごとの装いは両家顔合わせの服装にまとめました。
まとめ
- 手土産は必須ではない。ただし片方だけ持参する状況がいちばん気まずい
- そろえるのは「持参するか」「金額」「誰が渡すか」の3つ。間に立つのは新郎新婦
- 相場は3,000円から5,000円。高すぎると見返りを期待されていると受け取られる
- 個包装で日持ちするものを選ぶ。切り分けるもの、重いもの、日本茶は避ける
- のしは任意。つけるなら外のしで、水引は結び切りかあわじ結びが無難
- 表書きは「寿」なら婚礼の祝い、「ご挨拶」なら挨拶の品。名前は名字だけ
- 渡すのはあいさつのあと、着席する前。逃したら帰りのあいさつのあとで構わない
- 紙袋や風呂敷から出し、のしが相手から読める向きにして両手で渡す