結婚式の費用は、金額そのものより「いつ、誰が、どう切り出すか」で揉めます。会場を契約したあとで親に相談すると、話が動かせなくなっているからです。
そしてもうひとつ、多くの人が見落とすことがあります。結婚式の費用は前払いが約7割で、その場合はご祝儀を支払いに充てられません。「ご祝儀で足りる」という計算が、そもそも成り立たないケースが多いのです。
この記事では総額と自己負担の考え方、支払いの現実、両家の分担の3パターン、そして親からの援助をどう切り出すかまでを整理します。
結婚式の費用の総額と、自己負担の考え方
まず全体の構造です。挙式と披露宴の総額は平均343万9,000円、平均招待人数は52.0人でした(ゼクシィ結婚トレンド調査2024)。
では、その原資をどれだけ用意しているのか。結婚資金の貯金、していない人が32.7%にまとめたとおり、結婚のための貯金をしていなかった人が32.7%います。貯めた人の平均は244万9,000円でしたが、単独で最多なのは50万円未満の17.7%でした。
この調査は2024年版が最後で、2025年からは結婚マーケット調査に統合されています。調査が違う数字どうしを足し引きしないでください。
親からの援助については、新旧どちらの調査にも数字があります。ただし母数の取り方が違います。
- ゼクシィ結婚トレンド調査2024:親・親族からの援助を受けたのが74.2%、平均168万6,000円
- 結婚マーケット調査2025:親からの援助があったのが65.9%、平均140万6,000円。祖父母からの援助は別の設問で、平均45万4,000円
もう1つ、新生活のほうが本当に発生するかも先に確かめてください。結婚しても引っ越さない人が38.0%のとおり、新居を用意しなかった人は57.6%、引っ越しもしていない人は38.0%でした。敷金・礼金と引っ越し費用がまるごと消える人がいます。その分を結婚式に回せるかどうかで、組み方が変わります。
違いは親族や祖父母を含むかどうかです。この記事は総額・ご祝儀・自己負担をゼクシィの数字でそろえているので、以下もトレンド調査2024で通します。新しい調査の数字と並べるときは、この差を踏まえてください。
総額でも同じことが起きます。結婚マーケット調査2025では、挙式と披露宴をどちらも行った人の費用が平均298万6,000円(全体平均は210万1,000円)でした。ただしこちらは結婚を機とした食事会の費用も含むので、ゼクシィの343万9,000円とは測っているものが違います。298万6,000円のほうは結婚式をしない選択で使いました。
なお会費制を選ぶと、この構造そのものが変わります。会費制の結婚式・1.5次会では、会費だけでまかなえた人が7割にのぼる理由を分解しました。
ご祝儀の目安は結婚式のご祝儀はいくら包む?で立場別に整理しています。友人は3万円が中心ですが、親族はそれより多く、上司も高くなります。招待客の内訳を書き出して足すのが確実です。
親・親族からの援助は、74.2%の人が受け取っています。平均額は168万6,000円です。援助を受けること自体は珍しくありません。

支払いは約7割が前払い|ご祝儀は当てにできない
ここが計画で最も外しやすいところです。結婚式費用の支払いは、約7割が前払いです。挙式の1か月前から1週間前までに、3回程度に分けて全額を払い終える形が多くなっています。
つまりご祝儀を受け取るより前に、全額の支払いが終わっています。ご祝儀は当日集まるお金なので、前払いの原資にはできません。自己負担ぶんの現金を、式の1か月前までに用意しておく必要があります。
POINT:ご祝儀で支払いたいなら、契約の前に「ご祝儀払いができるか」を式場に聞いてください。当日払いや後日払いに対応している式場は少数です。対応していても、内金は先に発生します。契約後に相談しても、支払い方法は変えられないことがほとんどです。
その自己負担ぶんがいくらになるかは、先に見積もれます。ご祝儀は結局いくら集まる?のとおり、総額100万円以上の帯では、ご祝儀でまかなえるのはおよそ半分でした。総額の半分を現金で用意すると置くのが、いちばん外れにくい見方です。
見積もりの金額そのものが動きやすい点にも注意が要ります。契約時の見積もりから最終金額がどう膨らむかは結婚式の見積もりはなぜ上がる?に、契約前に確認しておくことは結婚式場を契約する前に確認したいことにまとめました。
指輪は、この見積もりとは別立てです。結婚指輪にかかる費用のとおり、結婚指輪はセット価格で平均32.1万円、夫側16.4万円・妻側20.0万円でした。式場の見積もりには出てこないので、親の援助を含めて考えるときも別に数えてください。

費用は誰が出す?両家の分担は3パターン
誰がどう出すかに決まりはありません。実際の分布は、親からの援助を式の費用にあてたかどうかで変わります。
- 援助をあてた場合:二人の共同貯金から払ったが35.6%、両家で折半が35.6%。この2つで6割を超えます
- 援助をあてていない場合:共同貯金が46.6%、折半が24.6%。二人で払う形に寄ります
援助が入ると両家の色が出て、入らないと二人の財布にまとまる、という分かれ方です。分け方そのものは次の3つが基本になります。
1.折半する
総額を半分ずつにする方法です。計算が単純で、話がまとまりやすいのが利点です。
ただし招待人数に差があると、片方が損をします。料理と引き出物はゲストの人数に比例するので、20人しか呼んでいない側が40人呼んだ側と同額を出す形になるためです。人数差が10人を超えるなら、折半以外を検討してください。
2.招待人数の比率で分ける
ゲストの人数に応じて負担を割る方法です。人数差がある場合はこちらのほうが納得感があります。
ただしご祝儀も人数に比例して入ってきます。負担だけを人数比にしてご祝儀を折半すると、今度は多く呼んだ側が損をします。ご祝儀の扱いもセットで決めてください。
3.項目ごとに分ける
費用の性質で切り分ける方法です。実務的にはこれがいちばん揉めません。
- 各自が負担するもの:衣装、美容、両家それぞれの親族へのお車代
- 人数で割るもの:料理、飲み物、引き出物。ゲストの人数に直結する費用です
- 折半するもの:会場費、装花、演出、写真や映像。二人で共有する費用です
お車代の考え方は結婚式のお車代はいくら渡す?にまとめました。遠方ゲストが片方に偏っている場合、ここも負担の差になります。
折半に入れた装花が実際いくらになるかは結婚式の会場装花はいくらかかる?にまとめました。58.3%が5万円未満、平均7.4万円です。そもそも3組に1組(34.0%)は会場装花を使っていません。分担を決める前に、やるかどうかから決めたほうが早い項目です。
3つ以外の分け方もある
- 片方の家が全額を負担する:地域や家の慣習で、新郎側が多く持つ形が残っている土地があります。相手の家がそのつもりでいるかどうかは、早めに確認しておいてください
- こだわりの強さで差をつける:ドレスを何着も着たい、装花にかけたいといった希望がある側が多めに出す考え方です
- 収入や貯蓄の差で決める:出せるほうが多く出す形です。二人のあいだで納得できていれば問題ありません
地域の慣習は、二人の話し合いより優先されることがあります。「折半で」と決めたあとに親から別の考えが出てくると巻き戻しになるので、慣習があるかどうかを先に親へ聞いておくほうが早く済みます。
親への切り出し方
援助を受ける人が74.2%いるとはいえ、こちらから金額を聞くのは気が引けます。順番を守ると切り出しやすくなります。
新婚旅行をこの相談に含めるかどうかも、先に決めておくと動きやすくなります。新婚旅行に行かない人は24.2%のとおり、事前予約で支払う額は平均43万9,000円。結婚式の支払いと予約の時期が重なるので、あとから相談すると選べる便と宿が減ります。
- タイミングは会場を契約する前:契約後だと金額もキャンセル料も動かせません。見積もりが出た段階で相談します
- 先に自分たちの計画を伝える:「総額はこれくらい、自分たちで用意できるのはこれくらい」と数字で共有します。金額を聞くところから始めない
- 両家で足並みをそろえる:片方だけが親に相談していると、あとで金額の差が表に出て気まずくなります
間に立つのは新郎新婦です。親同士で直接お金の話をさせないでください。この構図は服装や手土産のすり合わせと同じで、結婚式での親の役割にも書きました。
POINT:援助を前提に会場を決めないのが鉄則です。「たぶん出してくれるだろう」で契約すると、断られたときに逃げ場がありません。自分たちで払える範囲で契約し、援助があったらその内容を良くする、という順番が安全です。
この順番には根拠があります。結婚式の準備、どこまで二人で決めている?のとおり、親・親族に相談した工程は会場が12.1%でいちばん多い。親の話が出てくるのは会場を決める場面です。契約を済ませてから切り出すと、すでに動かせない状態になっています。
そもそも援助を頼みやすい理由もあります。披露宴をやる理由のとおり、披露宴をやった理由の1位は「親・親族に喜んでもらうため」44.7%で、上位3つは全部親でした。親のためにやるのなら、親が出すという流れも不自然ではありません。

援助を受けるときに知っておくこと
親からの援助に贈与税がかかるのかを心配する人がいますが、結婚式のために直接必要な費用であれば、通常は課税されません。扶養義務者のあいだで生活費などに充てるための贈与のうち、通常必要と認められるものは贈与税の対象にならないとされているためです。
気をつけたいのは受け取り方です。親が式場へ直接支払う形か、必要な都度もらう形にしてください。まとまった額を先に受け取って使途が曖昧になったり、式以外に回したりすると、扱いが変わる可能性があります。金額が大きい場合は税務署か税理士に確認してください。
お礼も忘れないでください。式が終わったら、使った金額の内訳をまとめて報告すると信頼が残ります。両親への贈呈品は両親贈呈品の選び方にまとめました。

揉めやすいポイント
- 招待人数の差:いちばん多い原因です。分担方法を決める前に、両家がおよそ何人呼ぶかを出しておきます
- 衣装代の差:新婦の衣装は新郎より高くなります。各自負担にするか総額に含めるかを先に決めます
- 遠方ゲストの交通費と宿泊費:どちらの家のゲストが遠方かで負担が偏ります
- 二次会の費用:会費で足りないぶんは新郎新婦が補います。二次会の構造は二次会の会費とご祝儀にまとめました
- 後から増える項目:装花や写真は打ち合わせのたびに増えます。誰が判断するかを決めておくと止められます
よくある質問
Q. ご祝儀は誰のものになりますか?
新郎新婦のものです。ただし分担の計算に組み込むなら、両家のゲストからのご祝儀をまとめて総額から引くのか、それぞれの家のぶんを各自の負担から引くのかを決めておいてください。ここを決めずに進めると、精算のときに食い違います。
Q. 援助を断られたらどうしますか?
そのまま進めて構いません。援助は義務ではなく、家の事情もあります。断られる前提で組んだ計画なら、何も変える必要がありません。金額を下げたいなら、装花や演出から見直すのが現実的です。
Q. 親の希望と自分たちの希望が合わないときは?
お金を出す側の意見は強くなります。招待客や演出に口を出されたくないなら、その部分は自分たちで負担するという切り分けが有効です。援助を受けた以上は意見も聞く、という前提で臨むと衝突が減ります。
Q. 少人数の式なら自己負担は減りますか?
総額は下がりますが、自己負担が同じだけ下がるとは限りません。人数が減るとご祝儀も減るためです。会場費や装花のように人数に関係なくかかる費用は残るので、1人あたりの負担はむしろ上がることがあります。費用と進め方は少人数結婚式・家族婚の費用相場で詳しく書きました。
Q. 支払いに使えるカードやローンはありますか?
支払い方法の内訳は、現金振込が67.3%、クレジットカードが約25%、現金の手渡しが7.3%です。式場によってはクレジットカード払いに対応しています。ポイントが貯まる一方で、限度額と手数料の扱いを確認してください。ブライダルローンもありますが、金利がかかります。まずは前払いに必要な現金がいつまでにいくら要るかを確定させるのが先です。
まとめ
- 総額の平均は343万9,000円、招待52.0人(ゼクシィ結婚トレンド調査2024)
- 自己負担は総額からご祝儀と援助を引いた残り。平均だけ見ても意味がない
- 支払いは約7割が前払い。ご祝儀は前払いの原資にできない
- ご祝儀払いを望むなら、契約の前に式場へ確認する
- 分担は折半、人数比、項目別の3つ。人数差が大きいと折半は不公平になる
- 親への相談は会場を契約する前に。先に自分たちの計画を数字で伝える
- 援助を前提に会場を決めない。断られても成立する計画にしておく
- 結婚式に直接必要な費用への援助は、通常は贈与税がかからない