会費制の結婚式を考えるとき、いちばん気になるのは「自己負担がどれくらい残るのか」だと思います。よく紹介されている数字は平均17.0万円です。
ところが同じ調査の内訳を開くと、会費だけでまかなえた人が73.0%います。7割は自己負担ゼロです。平均17.0万円という数字は、一部の人の大きな負担に引っ張られた結果でした。
この記事では、リクルートブライダル総研の結婚マーケット調査2025の詳細報告書から数字を直接引いて、なぜ会費制だと自己負担が出ないのかを分解します。そのうえで、ゲストとして招かれた側が払う額もまとめました。
会費制は15.7%。でも「ご祝儀制一本ではない人」は4組に1組
まず全体の位置関係からです。披露宴やウエディングパーティーの形式は次のようになっています。
- ご祝儀制:72.9%
- 会費制:15.7%
- ご祝儀制と会費制の両方を取り入れた:9.6%
- その他:1.8%
会費制だけを見ると15.7%で、たしかに少数派です。ただし両方を取り入れた9.6%を足すと25.3%になります。およそ4組に1組は、ご祝儀制一本ではない形をとっているということです。
同じ調査では、同じ日に時間をずらして複数回に分けて行う二部制について、「実施したくなる」と答えた人が28.0%いました。これは実施率ではなく意向を聞いた数字ですが、形式そのものが動いている最中だとは言えます。
自己負担は平均17.0万円。ただし7割はゼロ
ここが本題です。会費制を取り入れた人がもらった会費以外に負担した金額の内訳は、こうなっています。
平均値というのは、こういう形の分布に弱い数字です。自分がどちら側に入るのかは、平均を見ても分かりません。次の章で、7割の側に入る条件を見ていきます。
なぜ会費制だと自己負担が出ないのか
理由は集める額が多いからではありません。かける額のほうが違います。同じ調査の数字を並べると、はっきりします。
- 挙式と披露宴をどちらも行った場合:招待客は平均57.2人、費用の総額は平均298.6万円、招待客1人あたりの費用は平均7.3万円
- 会費制の場合:会費の総額は平均56.8万円、1人あたりの会費は平均2.1万円
会費の総額56.8万円を1人2.1万円で割ると、おおよそ27人という規模が見えてきます。全体の平均57.2人のおよそ半分です。
さらに踏み込みます。会費の総額56.8万円に自己負担の平均17.0万円を足すと73.8万円。これを27人で割ると、会費制の1人あたりの費用はおよそ2.7万円になります。ご祝儀制を含む全体の7.3万円と比べて、3分の1近くまで落ちている計算です。
この2.7万円は、公表されている平均値どうしを割って出した当サイトの概算です。回答者の数が項目ごとに違うため、正確な値ではありません。それでも桁の違いは動きません。
ここまでくると、構造が見えます。
- ご祝儀制:1人あたり7.3万円かけて、友人からのご祝儀は3万円。差額は構造的に持ち出しになります
- 会費制:1人あたり2.7万円ほどに抑えて、会費は2.1万円。ほぼ釣り合っています
つまり会費制で自己負担が出ないのは、ゲストから多く受け取っているからではなく、1人にかける金額そのものを下げているからです。ここを取り違えると計算が合いません。会費だけ会費制にして、中身をご祝儀制のまま組むと、当然のように足が出ます。
実際、参考までにご祝儀制側の数字を見ると、ご祝儀の総額は平均187.1万円で、自己負担額は平均158.9万円です。結婚式の費用は誰が出す?で、この自己負担をどう分担するかをまとめています。

7割の側に入るための条件
会費でまかなえるかどうかは、会費の額ではなく何を会費でまかなおうとしているかで決まります。
会費でまかなうもの
その日ゲストが受け取るものです。料理と飲み物、会場費、当日の装花、進行にかかる費用。ここは人数に比例するので、会費を実費から逆算すれば足ります。
会費でまかなわないもの
- 衣装とヘアメイク:二人のためのものです
- 写真と映像:残るのは二人の手元です
- 挙式そのものの費用:会費制のパーティーとは別に発生します
この3つを会費に乗せると金額が跳ね上がり、来られない人が出ます。自己負担が大きく出た人の多くは、ここを会費に含めようとしたか、含めずに別途かかった分だと考えると説明がつきます。衣装や写真は自分たちで持つ、と最初に決めておくほうが早いです。
人数が減っても会場費や装花は下がりません。この性質は少人数結婚式・家族婚の費用相場で詳しく書きました。少人数で会費制にするなら、1人あたりが上がる分をどこで受け止めるかを先に決めてください。
会費はどう決めるか
会費の額は食事の形式でほぼ決まります。目安はこうです。
- 1万円未満:立食、または着席のビュッフェ
- 1万5,000円前後:落ち着いた会場でのビュッフェ
- 2万円前後:着席のコース料理
1人あたりの会費の平均が2.1万円だったことを思い出してください。実際に選ばれている中心は、着席のコース料理に近い水準です。会費制はカジュアルなもの、という印象とは少しずれます。
会費制を受けない会場がある
会費を決める前に確認してほしい点です。すべての会場が会費制に対応しているわけではありません。ホテルや専門式場には、ご祝儀制を前提にしたプランしか用意していないところがあります。
対応しやすいのはレストラン、ゲストハウス、会費制を専門に扱う会場です。問い合わせの最初に「会費制で考えています」と伝えてください。見学を重ねてから断られると、時間が無駄になります。会場のタイプごとの違いは会場タイプごとの特徴と選び方で整理しました。
男女で差をつけることがある
男性の会費を女性より高く設定する形があります。飲む量の差を見込んだもので、失礼にはあたりません。実際の分布を見ると、男性は1万5,000円から2万円、女性は1万円から1万5,000円のあたりに山があり、5,000円ほどの差をつける例が見られます。
なお二次会の会費で男女差をつける場合は数百円から1,000円ほどで、水準がまったく違います。二次会の会費と混同しないでください。
ただし案内には男女それぞれの金額をはっきり書いてください。当日に受付で違いを知ると、ゲストは戸惑います。
欠席を見込んで決める
当日に2人から3人減ることは珍しくありません。人数ぎりぎりで会費を決めると、その時点で赤字が確定します。案内にキャンセルの期限を書いておくと、当日の欠席でも話が早く済みます。
会費制で省けるもの、省けないもの
準備の負担も変わります。ここは意外と知られていません。
- 引き出物:用意しないのが一般的です。代わりに1,000円から2,000円ほどの引菓子をお礼として渡す形が多くなります
- 席次表と席札:立食なら不要です。着席でも簡単な席案内で済ませることがあります
- お車代と心付け:会費をもらっている以上、遠方のゲストへの配慮は必要です。ここは省けません
席次表をどうするかは結婚式の席次表は必要?に、席の配置そのものは結婚式の席次の決め方にまとめています。遠方のゲストへのお車代は、会費制でも同じ考え方です。
当日いちばん困るのは受付|会費の集め方
ご祝儀制と会費制でいちばん違うのが受付です。ご祝儀は袋を受け取って芳名帳に記帳してもらえば済みますが、会費は現金のやりとりが発生します。ここの設計を当日まで詰めずにいると、入場が止まります。
おつりを出さない設計にする
これがいちばん大事です。会費は千円単位で区切ってください。1万5,000円や2万円のように、ゲストが札だけで払える額にします。1万2,500円のような設定にすると、受付で必ず両替が必要になります。
それでも大きい札で出す人はいるので、両替用の千円札を用意しておくと止まりません。招待人数の半分くらいの枚数があれば、まず足ります。5,000円札も数枚あると安心です。
受付は2人以上で、役割を分ける
- 受け取る人:会費を受け取り、金額を声に出して確認します
- 名簿につける人:受け取った印を名簿につけます。ここを口頭で済ませると、あとで誰が未払いか分からなくなります
新郎側と新婦側にそれぞれ1人から2人ずつ立てるのが一般的です。会費のやりとりがあるぶん、ご祝儀制より手数がかかると考えてください。集めたお金をその場に置きっぱなしにしないことも決めておいてください。受付が終わったら親か会場の担当者に預けます。
受付を頼まれた側が何をするかは結婚式の受付をお願いされたら何をする?に、受付のお礼の相場も別にまとめました。会費制でも受付へのお礼は必要です。会費の中から出すものではないので、別に用意してください。
当日欠席が出たときの決め方
連絡が来ないまま来ない人が出ます。その場で追いかけず、後日どうするかを先に決めておいてください。案内にキャンセル期限を書いてあれば、それに沿って伝えるだけで済みます。受付の場で判断させないことが大事です。

ゲストが払う額|会費制のほうが安いとは限らない
ここからは招かれる側の話です。
1人あたりの会費は平均2.1万円。友人として包むご祝儀の相場は3万円なので、単純な比較では9,000円ほど安くなります。
ただし、そのまま安いと考えないほうがいい理由が3つあります。
- 引き出物がありません:ご祝儀制なら数千円分の品を持ち帰ります。払う額が減るぶん、受け取るものも減ります
- 二次会が別にあることがあります:会費2万円に二次会の会費5,000円が乗ると、ご祝儀制と変わらなくなります
- 服装の格は下がりません:会費制でも招待状に会場名が書かれています。会場の格に合わせる原則は同じです
ご祝儀の相場そのものは結婚式のご祝儀はいくら包む?で、二次会の会費は結婚式の二次会の会費はいくら?で確認できます。
会費とご祝儀を両方渡す必要はない
案内に「会費」と明記されているなら、その金額が招く側の答えです。上乗せは要りません。ご祝儀袋にも入れず、受付でそのまま渡します。
迷ったときは案内の書き方で判断してください。金額が書かれていれば会費制、書かれておらず「ご出席をお願いします」とだけあればご祝儀の必要な披露宴です。
「1.5次会」は会費制と同じ意味ではない
言葉の整理をしておきます。混同されがちですが、別のことを指しています。
- 会費制:お金の集め方の呼び名です。決まった額を受け取ります
- 1.5次会:会の形式の呼び名です。披露宴ほど改まらず、二次会ほどくだけない会を指します
ですから1.5次会でご祝儀制をとることもできますし、正式な披露宴を会費制で行うこともできます。実際、調査でも両方を取り入れた人が9.6%いました。
ゲストとして案内を受け取ったときに見るべきなのは、会の名前ではなく金額の書き方です。「1.5次会」と書いてあっても、会費の記載がなければご祝儀が必要になります。
会費制の本家は北海道|発起人という仕組み
会費制は新しい形式のように見えますが、北海道では昔から主流です。青森県や山形県の一部にも同じ文化があります。
始まりは開拓時代だとされています。移住してきた人が多く、冠婚葬祭の古い決まりごとが持ち込まれなかったこと、そして結婚式に大きな費用を用意するのが難しかったことから、ゲストが会費を持ち寄って祝う形が根づきました。
特徴的なのは発起人という役割です。職場の仲間や友人が発起人になり、案内状の差出人になって、当日の進行と会費の集金までを担います。新郎新婦は招く側ではなく、祝われる側に回るという考え方です。
近年は新郎新婦が案内状を出し、友人が受付を担当する形が主流になってきました。それでも「二人の負担を軽くしてみんなで祝う」という発想は残っています。会費制を選ぶときに、この考え方を知っておくと説明がしやすくなります。
ちなみに北海道の結婚式の総額は221.5万円で、全国15エリアの中で最も少なくなっています(全国平均は343.9万円)。この数字は結婚トレンド調査2024によるもので、記事の前半で使った結婚マーケット調査とは別の調査です。数字を並べるときは、同じ調査どうしで比べてください。
案内状の書き方
会費制でいちばん大事なのは、案内状に金額を書くことです。ここが抜けると、ゲストはご祝儀を用意するかどうかで迷います。
- 会費の金額を明記する:男女で差をつけるなら両方書きます
- ご祝儀を辞退する一文を添える:「お祝いのお気持ちのみ有り難く頂戴いたします」といった書き方が使われます
- 会場名と食事の形式を書く:立食かどうかで服装と靴の選び方が変わります
- キャンセルの期限を書く:後で揉めません
案内を紙で送るかWebで送るかは、結婚式の招待状はWebと紙どっち?にまとめました。会費をオンラインで事前に受け取る仕組みもありますが、手数料がかかります。その考え方も同じ記事に書いています。

よくある質問
Q. 親族も会費制にしていいですか?
できますが、親と先に相談してください。親族から「格好がつかない」と反対が出るのは、たいてい会費制そのものではなく、事前に相談がなかったことです。親族だけご祝儀制にする形も選べます。調査で「両方を取り入れた」が9.6%あるのは、こうしたケースが含まれます。
Q. 会費制なのにご祝儀をいただいたら?
受け取って構いません。辞退を明記していても、包んでくる人はいます。後日、いただいた額の半額程度を目安に内祝いを返します。高額だった場合は3分の1程度でも失礼にあたりません。返し方は結婚内祝いのマナーガイドにまとめました。
Q. 会費は新札でなくていいですか?
新札でなくて構いません。会費はお祝いではなく参加費の性質なので、新札の決まりは当てはまりません。ただしおつりが出ない金額をそろえていくのが受付への配慮です。
Q. 欠席するとき会費は払いますか?
時期によります。案内が届いた段階で断るなら不要です。最終人数が確定したあとの欠席は、料理と席の分が発生しているので、会費を渡すのが筋になります。詳しくは二次会の会費と欠席するときのご祝儀に書いています。
Q. 会費制だと挙式はできませんか?
できます。挙式を行い、そのあとのパーティーを会費制にする形が一般的です。ただし挙式の費用は会費に含めず、自分たちで持つと考えてください。挙式そのものの選び方は挙式スタイルの選び方で解説しました。
まとめ
- 会費制は15.7%だが、両方を取り入れた9.6%を足すと4組に1組がご祝儀制一本ではない
- 自己負担の平均は17.0万円。ただし73.0%は会費だけでまかなえている
- 自己負担が出ないのは、1人にかける金額を7.3万円から2.7万円ほどに落としているから
- 衣装・写真・挙式は会費に乗せない。ここを乗せると足が出る
- ゲストの負担は9,000円ほど軽いが、引き出物はなく、二次会が乗れば変わらない
- 「1.5次会」は会の形式の名前で、会費制とは別のこと
形式を決めたら、次は招待する範囲です。結婚式はどこまで呼ぶ?から順に進めてください。