式場探しの記事を読むと、「試食は受けたほうがいい」とどこにも書いてあります。約9割が試食付きのブライダルフェアに参加している、という数字を見かけることもあります。
ただ、一次データを見ると4割は試食していません。
数字はリクルートブライダル総研の結婚マーケット調査2025(トレンド編)から、披露宴か食事会を実施した692人に聞いた結果です。

ブライダルフェアの試食をせずに料理を決めた人は39.0%
試食の実施状況です。
- 試食をした:61.0%
- 試食はしなかった:39.0%
5人に2人は、味を確かめないまま料理を決めています。「必ず受けましょう」と書かれている工程ですが、実際には全員が通っているわけではありません。
25歳から34歳は71.2%。35歳以上は約51%
年齢別に、試食をした割合を並べます。
- 24歳以下:56.2%(39人)
- 25歳から29歳:71.2%(154人)
- 30歳から34歳:71.2%(174人)
- 35歳から39歳:51.3%(126人)
- 40歳以上:51.2%(199人)
25歳から34歳と、35歳以上のあいだに20ポイントの差があります。25歳から34歳はどちらも71.2%でぴたりと同じ、35歳以上も51.3%と51.2%でほぼ同じ。2つのかたまりに、はっきり割れています。
年齢が上がるほど慎重になる、という形ではありません。むしろ上の層のほうが試食を省いています。時間の使い方の問題だと考えるほうが、この分かれ方には合います。
35歳以上は仕事の裁量が大きく、休日を式場見学に何度も割きにくい層です。結婚式場見学は何件行くべき?で見たとおり、見学そのものを絞る判断もあります。所要時間について、読んだ記事はフルコースで2時間程度、ハーフコースやワンプレートで1時間ほどと書いていました(こちらも出典の記載はありません)。件数を絞ると真っ先に落ちる工程ではあります。
ただし24歳以下は39人しか答えていません。ここだけは幅を持って見てください。
「約9割が参加」と書かれているが
ブライダルフェアの試食で検索して上位に出てくる記事を読んで確かめました。
大手の式場予約サイトは「約9割のカップルが試食付きのブライダルフェアに参加」「約7割が役に立ったと回答」と書いています。ただし、どちらの数字にも出典がありません。調査名も、答えた人数も書かれていません。
ここは正確に書いておきます。「試食付きフェアに参加した割合」と「試食を実施した割合」は、聞いている内容が同じとは限りません。単純に9割と61.0%を引き算するのは乱暴です。
それでも30ポイント近い開きは、説明が要る大きさです。そして「9割」と書いている記事には、試食付きフェアの検索ページへのリンクが何度も入っています。運営は式場予約サービスの会社で、フェアの予約が入ることで収益が立つ側です。
同じ構図は費用のほうでも見てきました。結婚式の見積もりはなぜ上がる?で「100万円から200万円上がる」と書いていたのも、式場予約サービス自身でした。数字の出どころと、その数字で得をする人は、たいてい重なります。
試食をしないと、何を確かめられないのか
39.0%という数字は「試食は要らない」という意味ではありません。何を確かめ損ねるのかを知ったうえで選ぶのが本筋です。
まず金額です。結婚式の料理の相場にまとめたとおり、一人あたりの料理と飲み物の代金は平均1万9,800円でした。50人なら99万円になります。
100万円近い買い物を、味を確かめずに決めている。39.0%という数字は、そう言い換えることもできます。
試食でしか分からないのは、次のようなところです。
- 量:写真では分かりません。少なすぎても多すぎてもゲストの記憶に残ります
- 温度:大きい会場ほど配膳に時間がかかります
- ランクの差:見積もりに入っているコースと、試食で出るコースが同じとは限りません
3つ目がいちばん大事です。試食で出てくるのは上位のコースであることがあります。「試食したから安心」ではなく、いま食べているコースが見積もりのどのランクなのかを、その場で聞いてください。見積もりはなぜ上がる?で書いた「項目が入っているだけでは安心できない」というのは、料理でも同じです。
ゲストに出す料理の44.9%はビュッフェ
同じ692人に、当日の料理をどの形式で出したかも聞いています。
- コース料理:54.1%
- 着席ビュッフェ:28.3%
- 立食ビュッフェ:16.6%
- その他:1.0%
ビュッフェは合わせて44.9%で、半数近くあります。コース料理が54.1%で最多ではありますが、全員がコースを出しているわけではありません。
ビュッフェなら、試食で確かめるものが変わります。1皿の完成度より、品数と補充の速さ、そして列のさばき方のほうが当日には効きます。試食に行く前に、その会場でどの形式にするつもりかを決めておくと、見るところが定まります。
年齢別では、30歳から34歳のコース料理が59.0%と最も高く、24歳以下が48.0%で最も低くなります。試食をした割合がいちばん高い30歳から34歳が、コースの割合でも最も高いという重なりがありました。

試食に行くなら、必ず聞いておく3つ
試食は「おいしかった」で終わらせると、行った意味が半分になります。その場で聞くことを3つに絞りました。
- このコースは見積もりのどのランクか。試食で出るのが上位のコースであることがあります
- 当日も同じ体制で出せるか。試食は少人数向けに作った1皿です。ビュッフェが44.9%あることを思い出してください
- 季節でコースの中身が変わるか。式が半年先なら食材は入れ替わります
3つとも、聞くだけなら1分で済みます。結婚式のプランナーは当たり外れがある?で見たとおり、提案が「期待した以上」だった人の割合は、打ち合わせの回数が増えるほど上がり続けます。こちらから材料を出すほど、返ってくるものは具体的になります。

試食が必要ない、と言える場合
39.0%が省いている以上、省くことは例外ではありません。成り立ちやすいのは次のような場合です。
その会場で食べたことがある
ホテルやレストランが会場なら、そこで食事をしたことがあるかもしれません。披露宴のコースと同じではありませんが、厨房の実力は分かります。
見学の件数を絞ると決めている
式場見学前に知っておくべき7つのことにまとめたとおり、見学は準備の中でも時間を食う工程です。件数を絞るなら、試食は本命の1件だけにするという配分もあります。
料理より優先したいものがある
会場の雰囲気やアクセスを最優先にするなら、料理は決め手になりません。結婚式場の選び方に、契約前に確認したい点をまとめました。何で決めるかを先に決めておけば、試食を省いても迷いません。
逆に省かないほうがいいのは、料理を重視すると決めている場合です。ゲストの記憶にいちばん残る費目でもあります。
まとめ
- 試食をした61.0%、しなかった39.0%。5人に2人は味を確かめずに決めています
- 25歳から29歳と30歳から34歳はどちらも71.2%、35歳から39歳は51.3%、40歳以上は51.2%。20ポイントの差で2つに割れます
- 年齢が上がるほど慎重になるのではなく、上の層ほど省いています
- よく見る「約9割が参加」には出典がなく、書いているのはフェア予約で収益が立つ側でした
- 省くかどうかを決める前に、一人あたり平均1万9,800円、50人で99万円という金額は見ておいてください
- 試食で出るコースが見積もりのどのランクなのかは、その場で必ず聞くこと
- 数字はリクルートブライダル総研 結婚マーケット調査2025(トレンド編・692人)