結婚資金を調べると、「平均325万8,000円」という数字によく行き当たります。用意しないといけない額として書かれていることが多い数字です。
ただ、一次データを見るとその手前で3人に1人が抜けています。
数字はリクルートブライダル総研の結婚マーケット調査2025(トレンド編)から、817人に聞いた結果です。

結婚資金を貯めていなかった人は32.7%
まず、そもそも貯めていたのかどうかです。
- 結婚のために貯金していた:67.3%
- 貯金していなかった:32.7%
3人に1人は、結婚のための貯金をしていません。「貯めてから」が前提のように語られる領域ですが、実際にはそうなっていません。
ひとつ注記があります。この設問は貯金額が「わからない」と答えた人を「貯金していた」に含めて集計しています。67.3%はやや高めに出ていると考えたほうが正確です。つまり貯めていない側は32.7%より少し多い可能性があります。
結婚資金はいくら貯めた?平均244.9万円だが最多は50万円未満
では、貯めた人はいくら貯めたのか。金額を答えた186人の平均は244万9,000円でした。
ただ、平均を見ても実態はつかめません。分布がきれいに割れているからです。
- 50万円未満:17.7%(単独でいちばん多い区分)
- 50万円から100万円未満:9.6%
- 100万円から150万円未満:14.8%
- 200万円から250万円未満:13.6%
- 300万円から350万円未満:17.5%(2つ目の山)
- 700万円以上:5.6%
まとめ直すと、100万円未満が27.3%、300万円以上が37.0%。ほとんど貯めていない層と、しっかり貯めた層に割れています。平均の244万9,000円は、その真ん中にできた数字です。
「平均いくら貯めるか」を目標にするのは、この分布では合いません。4人に1人以上が100万円未満で結婚しています。貯金額は、結婚できるかどうかの条件ではありません。
もうひとつ注記です。この186人は、貯金していた人のうち金額を答えた人だけです。貯金していた人は817人中およそ550人いるので、金額まで答えたのは3分の1ほどということになります。

貯めた人どうしなら、年齢差は小さい
先に触れておくと、貯めた額のほうは年齢であまり動きません。金額を答えた人の平均です。
- 25歳から29歳:241万2,000円(34人)
- 30歳から34歳:246万円(53人)
- 35歳から39歳:226万1,000円(32人)
- 40歳以上:263万円(63人)
いちばん高い40歳以上と、いちばん低い35歳から39歳の差は36万9,000円しかありません。貯金していた割合のほうは53.1%から74.7%まで21.6ポイント開いていたので、対比するとよく分かります。
年齢で変わるのは「貯めるかどうか」であって、「いくら貯めるか」ではありません。貯めると決めた人は、どの年代でもだいたい同じところに着地しています。
なお24歳以下は5人しか金額を答えていないので、この並びからは外しました。
「325万8,000円」を書いているのは誰か
結婚資金で検索して上位に出てくる記事を読んで確かめました。
大手銀行のサイトは「二人の結婚資金の全平均額は325万8,000円」と書いています。出典はゼクシィ調べの2024年・首都圏版。この調査は2024年版が最後で、2025年から結婚マーケット調査に統合されました。しかも首都圏版の数字です。調査対象の人数は書かれていません。
そしてこの記事は「ホーム、カードローン、はじめての方へ」という階層にあり、カードローンとフリーローンの案内が入っています。足りない額を大きく見せるほど、商品の出番が増える書き手だということです。そもそも貯金していない32.7%には、まったく触れていません。
もう1件、ジュエリーメーカーが運営するメディアも読みました。こちらは自社調査で「貯金をしていた65.0%、していない35.0%」を出しています。この記事の67.3%と32.7%に近い数字です。触れている媒体もある、というのは正確に書いておきます。ただし調査数は297人で、この記事の817人とは規模が違います。
同じ構図は費用のほうでも起きています。結婚式の見積もりはなぜ上がる?で見たとおり、「100万円から200万円上がる」と書いているのは式場予約サービス自身でした。数字の出どころと、その数字で得をする人は、たいてい重なります。
いちばん貯めているのは30歳から34歳
年齢で分けると、想像とは違う形が出ます。貯金していた人の割合です。
- 24歳以下:53.1%
- 25歳から29歳:68.9%
- 30歳から34歳:74.7%
- 35歳から39歳:63.4%
- 40歳以上:65.7%
ピークは30歳から34歳の74.7%です。そこから上は下がります。年齢が上がるほど貯めている、という形ではありません。
いちばん低いのは24歳以下の53.1%で、この層は半分近くが貯金なしで結婚しています。ただし24歳以下は57人しか答えていないので、幅を持って見てください。
35歳から39歳が63.4%と下がるのも目を引きます。収入が上がる年代なのに、貯金していた割合は30代前半より低い。結婚を決めてから式までの期間が短ければ、貯める時間そのものが取れません。
同じ30代前半は、別のところでもピークでした。プロポーズなしで結婚した人は13.7%のとおり、プロポーズが「なかった」割合が最も低いのも30歳から34歳の11.4%です。段取りを踏む層という共通点があります。
貯金がなくても進む道はある
援助を受けている人が65.9%いる
自己資金だけで組み立てる必要はありません。結婚式の費用は誰が出す?にまとめたとおり、親からの援助があった人は65.9%で、金額を答えた人の平均は140万6,000円です。
貯金32.7%と援助65.9%を並べると、貯めていない人がそのまま詰んでいるわけではないことが分かります。ただし援助を前提に会場を決めるのは危険です。切り出す順番もそちらにまとめています。

やらないと決めれば、その分は要らない
費目ごとに「やらない」を選ぶ人が、どこでも2割から3割います。新婚旅行に行かない人は24.2%、婚約指輪は必要?では「なかった」が32.9%、結婚式をしない選択では何もしない人が最多でした。
貯金額から逆算するのではなく、やることを決めてから必要額を出すほうが早く着地します。325万8,000円を用意してから考える、という順番である必要はありません。
先に払う額と、最終的に出ていく額は別
貯金の計画を立てるときに効くのが、支払いの時期です。結婚式の見積もりはなぜ上がる?のとおり、見積りより支払いが上がった人は48.2%で、その差額は平均70万4,000円にのぼります。逆に上がらなかった人が51.7%と多数派でもあります。
1人あたりの単価が総額に直結する料理については結婚式の料理の相場にまとめました。削る先を探すより、やる・やらないを先に決めるほうが金額は動きます。
まとめ
- 結婚のための貯金をしていなかった人は32.7%。3人に1人です
- ただし設問は「金額がわからない」人を貯金していた側に入れているので、32.7%はもう少し多い可能性があります
- 貯めた人の平均は244万9,000円(186人)。ただし単独で最多は50万円未満の17.7%で、300万円から350万円未満の17.5%と山が2つあります
- まとめると100万円未満27.3%、300万円以上37.0%。平均に近い人は多くありません
- よく見る325万8,000円は2024年で終了した旧調査の首都圏版で、書いているのはカードローンを扱う銀行でした
- 貯金していた割合は30歳から34歳の74.7%がピーク。24歳以下は53.1%と最も低くなります
- 数字はリクルートブライダル総研 結婚マーケット調査2025(トレンド編・817人)