婚約指輪は必要?|「なかった」32.9%という数字と、相場43.8万円の考え方

婚約指輪は必要?|「なかった」32.9%という数字と、相場43.8万円の考え方

婚約指輪は必要なのか。迷ったときに先に見ておきたい数字があります。婚約記念品そのものが「なかった」人が32.9%3組に1組です。

この記事では、その数字の中身を分解します。そのうえで、検索するとよく出てくる「買わなかったのは2割程度」という数字がどこから来ているのかも確かめました。結論から言うと、どちらも実在する調査ですが、母数と、誰が集めた回答かが違います

数字はリクルートブライダル総研の結婚マーケット調査2025(既婚編・821人)です。

カフェのテーブルで向かい合って話している二人。手元にノートとペン、マグカップが置かれている。窓の外は明るい
買うかどうかを決める前に、まず3組に1組が「なかった」という分布を見てください。

3組に1組は、婚約記念品そのものがない

まず全体の分布です。婚約記念品があったかどうかを聞いた結果はこうなっています。

  • 自分からお相手に贈った:30.5%
  • お相手からもらった:23.6%
  • 二人で購入した:13.0%
  • なかった:32.9%

「なかった」の32.9%が単独でいちばん大きい塊です。そして「二人で購入した」が13.0%いることにも目を留めてください。贈る・もらうという形ですらない選び方が、すでに1割を超えています

記念品があった人(551人)に中身を聞くと、指輪が67.9%で最も多く、次いでネックレス、ピアス・イヤリング、時計と続きます。

婚約記念品の有無と、そのうち指輪だった割合 結婚した821人のうち、婚約記念品があった人は67.1パーセント、なかった人は32.9パーセントです。記念品があった551人のうち指輪だったのは67.9パーセントで、全体に対して計算すると45.6パーセントになります。別の設問である婚約指輪の実施率は55.9パーセントで、こちらは実施予定の人を含みます。出典はリクルートブライダル総研の結婚マーケット調査2025です。 婚約記念品はあったか(結婚した821人) あった 67.1% なかった 32.9% あった551人の中身 指輪 67.9% ほか 全体で見ると 45.6% 婚約指輪を用意したのは、半数前後です 同じ調査の別の設問「婚約指輪の実施率」は55.9%。こちらは予定の人を含みます 設問が違えば数字も変わります。どちらか一方だけを見ないでください リクルートブライダル総研 結婚マーケット調査2025(既婚編)
「みんな買っている」でも「もう誰も買わない」でもありません。どちらの数え方でも、用意した人と用意しなかった人はおおよそ半々です。

「なかった」がいちばん多いのは35歳から39歳

年齢別に見ると、思っていたのと逆の形が出ます。「なかった」と答えた割合です。

  • 24歳以下:20.2%
  • 25歳から29歳:35.2%
  • 30歳から34歳:33.6%
  • 35歳から39歳:43.2%
  • 40歳以上:29.3%

いちばん若い層で「なかった」が最も少なくなっています。24歳以下は「お相手からもらった」が37.3%と、ほかの層の倍近くありました。逆にいちばん多いのは35歳から39歳の43.2%です。

つまり「若い世代は買わなくなった」という説明は、この数字とは合いません。ただし35歳から39歳は96人、40歳以上は49人と回答数が少ない層なので、幅を持って見てください。

結納はするべき?でも、年齢と実施率は単純な直線になりませんでした。年齢より、二人と家の考え方で決まると見るほうが実態に近いはずです。

プロポーズはしても、指輪は渡さない

もうひとつ、並べて見ておきたい数字があります。同じ調査の実施率です。

  • プロポーズする/される:75.6%
  • 婚約指輪をわたす/もらう:55.9%
  • 参考までに、結婚指輪をわたす/もらうは74.4%

プロポーズと婚約指輪の差はおよそ20ポイントです。プロポーズはしたけれど、指輪は渡していないという組み合わせが、それだけあることになります。

結婚指輪は74.4%で、プロポーズとほぼ同じ水準です。「渡す指輪」として定着しているのは結婚指輪のほうで、婚約指輪はそこから20ポイント落ちる、という位置づけになります。

「用意した人」は数え方で45.6%にも55.9%にもなる

同じ調査には、もうひとつ婚約指輪の数字があります。「婚約指輪をわたす/もらう」の実施率は55.9%です。結婚指輪の選び方完全ガイドではこちらを使いました。

一方、この記事の分解から計算するとこうなります。記念品があったのが67.1%、そのうち指輪が67.9%。掛け合わせると45.6%です。

10ポイントほど開きます。理由は2つあります。

  • 実施率には予定の人が入る:報告書の注記に、「これから実施する予定で、時期や内容もほぼ決まっている」と答えた人を含めると書かれています
  • 設問の括りが違う:一方は「婚約記念品」という括りの中の指輪、もう一方は「婚約指輪をわたす/もらう」という行為

どちらが正しいという話ではありません。45.6%と55.9%のどちらで見ても、用意した人と用意しなかった人はおおよそ半々だという点は変わりません。

「いらない」は少数派?よく見る2割という数字の出どころ

検索すると、買わなかった人を2割から3割とする記事が上位に並びます。出どころを確かめました。

  • 結婚スタイルマガジン:自社のSNSアンケート(2025年2月・389人)で、婚約記念品を贈った人が77.9%。裏返すと贈らなかった人は22.1%
  • みんなのウェディング:自社の調査(371人)で、婚約指輪をもらわなかった人が29.4%

どちらも実在する調査です。作り話ではありません。ただし、そのまま受け取る前に2つ押さえておいてください。

  • 回答数が数百人規模の自主調査:この記事で使っている821人と比べると母数が小さく、集め方も違います
  • 集めているのが誰か:結婚スタイルマガジンを運営しているのは指輪のブランドです。SNSでその媒体をフォローしている人が答えているので、指輪に関心の高い層に寄ります

数字そのものを疑う必要はありません。ただ、婚約指輪の記事の上位は、指輪を売っている会社の運営するメディアが多いという点は見ておいて損がありません。結婚式をしない選択で「7割が後悔」という数字を扱ったときと、同じ構図です。

婚約指輪の相場は43.8万円、結婚指輪はセットで32.1万円

金額も見ておきます。婚約記念品として指輪を用意した人(258人)が払った額です。

ジュエリーショップのカウンターで、トレーに並んだ複数のリングを見ている二人の手元。店員の手も写っている
平均は43万8,000円。いちばん多い価格帯は30万円台で18.7%でした。
  • 平均:43万8,000円
  • いちばん多い価格帯:30万円以上40万円未満が18.7%
  • 次いで20万円台が17.2%、50万円台と10万円台がそれぞれ14.1%
  • 10万円未満が10.7%、100万円以上が9.0%と、上下にも広がります

ここで結婚指輪と並べると、意外な形が出ます。同じ調査の結婚指輪の費用は、夫側が16万4,000円、妻側が20万円、セット価格で32万1,000円でした。

婚約指輪1本のほうが、結婚指輪2本分より高いということになります。両方そろえると合計で76万円ほど。婚約指輪を用意するかどうかは、指輪の予算をおよそ2.4倍にするかどうかの判断でもあります。

ちなみに、婚約記念品としてネックレスを選んだ人(82人)の平均は22万5,000円でした。指輪の半分ほどです。素材や選び方は結婚指輪の選び方完全ガイドにまとめています。

「給料3か月分」はどこから来た言葉か

予算の話になると必ず出てくるのが「婚約指輪は給料の3か月分」という言い方です。出どころを確かめました。

ダイヤモンド会社デビアスの広告キャンペーンです。ゼクシィは1968年に始まったとし、経営を専門とする書き手による解説記事では1970年代としていて、年の書き方は資料によって少し違います。ただマナーでも慣習でもなく、広告のコピーだったという点は共通しています。

実際の平均43万8,000円と並べてみます。

  • 月の手取りが20万円なら、およそ2.2か月分
  • 30万円なら、およそ1.5か月分
  • 40万円なら、およそ1.1か月分

3か月分にはなりません。ゼクシィ自身の記事にも「いまの婚約指輪は給料1カ月分くらい」という言葉が出てきます。

「3か月分」を基準に置くと、実態よりかなり高いところから予算を考え始めることになります。基準にするなら、広告のコピーではなく実際の分布のほうです。

婚約指輪はいらないと決めるなら、代わりに決めること

「なかった」を選ぶ人が3組に1組いる以上、用意しないのは特別な判断ではないと言えます。ただし「何もしない」で終わらせると、あとで話が戻ってきます。決めておきたいのは次の3つです。

自宅のリビングでソファに並んで座り、向き合って話している二人。テーブルにマグカップが2つ置かれている
用意しないと決めるなら、「いらない」の中身を先に分けてください。安くすれば解ける話かどうかが変わります。

形を変えるのか、なくすのか

ネックレスや時計に替える、二人で購入する形にする、結婚指輪のランクを上げてまとめる。この記事の分布でも二人で購入した人が13.0%いました。「贈られるもの」という前提を外すだけで選択肢は増えます

二人で「いらない」の中身が違うとき

片方が「いらない」と言い、もう片方が納得しきれていない。この形がいちばん揉めます。まず「いらない」の中身を分けてください

  • 関心がない:指輪そのものに興味が向かない
  • 遠慮している:金額を思って言い出しにくい
  • 優先順位が下:ほかに使いたいところがある

この3つは対応が違います。遠慮なら金額を下げれば解けますが、関心の問題は安くしても解けません結婚式をしない選択で見た「しない理由の1位はお金ではない」という構造と同じです。

切り分けがつかないときは、買う前提にせず一度見に行くのが早道です。実物と値段を見てから話すほうが、想像で話すより噛み合います。

親に伝えるかどうか

婚約記念品は、二人だけの話で終わらないことがあります。顔合わせの席で「指輪は?」と聞かれる場面は珍しくありません。結納はするべき?で扱ったとおり、結納をする場合は婚約記念品の披露が式次第に組み込まれています。しない場合でも、聞かれたときの答えを二人でそろえておいてください。

あとから用意する道を閉じない

結婚指輪を見に行くときに、婚約指輪も一緒に見せてもらうことはできます。セットで買うと割引が用意されている店もあるので、いま買わないと決めた場合でも、金額だけ聞いておくと後の判断が早くなります。

予算の順番で迷うなら、少人数結婚式・家族婚の費用相場結婚式の料理の相場と並べてみてください。43万8,000円は、ゲスト22人分の飲食代とほぼ同じ規模です。どこに置くかは二人の順位づけの問題になります。

まとめ

  • 婚約記念品が「なかった」人は32.9%。単独でいちばん大きい塊です
  • 記念品があった人の67.9%が指輪。全体では45.6%、別の設問の実施率では55.9%。どちらで見ても半数前後です
  • 検索で見かける「2割」は、数百人規模の自主調査によるもの。集めているのが誰かも見ておいてください
  • 婚約指輪は平均43万8,000円で、結婚指輪のセット価格32万1,000円より高い
  • 用意しないなら、形を変えるか・親にどう伝えるか・あとから買う道を残すかを決めておく
  • 数字はリクルートブライダル総研 結婚マーケット調査2025(既婚編・821人)