引き出物をゲストの自宅へ直接送る引出物宅配便(直送便)というサービスがあります。ゲストが手ぶらで帰れる、贈り分けがしやすい、といったメリットが並び、調べると「増えている」と書かれています。
ところが一次データを見ると、実際に使ったのは11.5%でした。知っている人は65.6%いるのにです。
数字はリクルートブライダル総研の結婚マーケット調査2025(トレンド編)から、国内で披露宴や食事会を行った692人に聞いた結果です。

知っている人は3人に2人、使った人は11.5%
設問は認知と検討状況をまとめて聞く形になっています。内訳はこうです。
- 知っていたが、検討しなかった:38.1%
- 検討したが、取り入れなかった:16.0%
- ゲスト全員に取り入れた:7.9%
- 一部のゲストに取り入れた:3.6%
- 知らなかったが、知っていたら取り入れるか検討したかった:8.4%
- 知らなかった。知っていても検討しなかった:26.0%
上の4つが「知っていた」で合計65.6%、下の2つが「知らなかった」で34.4%です。そして実際に取り入れたのは、全員に7.9%と一部に3.6%を足した11.5%になります。
知っていた65.6%のうち、使わなかったのは54.1%。割合にすると知っている人の8割強が見送っています。しかも最も多いのは「検討したが取り入れなかった」ではなく、「知っていたが、検討しなかった」の38.1%です。検討の土俵にすら乗っていません。
「増えている」と書かれているが、数字は出てこない
検索で上位に出てくる記事を実際に読んで確かめました。
- 結婚情報メディアの記事:「最近では宅配にする新郎新婦が増えている」と書いていますが、普及率の数字は挙げていません。結論は「注意点に気を付けて利用したいですね」
- 宅配サービスを提供している会社のブログ:自社顧客の平均節約額や、905人に聞いた自社調査を載せています。業界全体の利用率は出てきません
上位の多くは宅配サービスそのものを売っている会社か、サービス比較の記事です。「使わない」という判断を正面から扱っている記事は見つかりませんでした。
ただし、事業者側の記事に正直な数字も書かれていました。「1〜2割のお客様はスムーズに配送完了しません」というものです。売っている側が書いているぶん、ここは重く受け取っていい情報だと思います。
若い人ほど知っているのに、使っているのは上の世代
年齢別に見ると、認知と利用が逆を向きます。まず知っていた割合です。
- 24歳以下:78.0%
- 25歳から29歳:70.3%
- 30歳から34歳:64.8%
- 35歳から39歳:61.1%
- 40歳以上:62.9%
きれいに若い層ほど知っています。ところが実際に取り入れた割合(全員と一部の合計)はこうなります。
- 24歳以下:8.9%
- 25歳から29歳:11.9%
- 30歳から34歳:10.4%
- 35歳から39歳:13.5%
- 40歳以上:11.4%
いちばん認知が低い35歳から39歳が、いちばん使っています。逆にいちばん知っている24歳以下が、いちばん使っていません。知っていることと選ぶことは別だということが、この2つの並びからわかります。
直送便のデメリット|検討にすら乗らない4つの理由
最大の塊は「知っていたが、検討しなかった」38.1%です。調査に理由の項目はありませんので、ここからは実務上のハードルの整理になります。
- 住所を集める手間:ゲスト全員分の住所が要ります。事業者の記事でも、人数が多いと入力だけで相当な作業になると書かれています
- 当日に渡せない:引き出物は持ち帰るものだと思っているゲストがいます。何も渡さないまま帰すことになります
- 配送が確実ではない:不在や住所の誤りが起きます。事業者自身が1〜2割はスムーズに完了しないと書いています
- 式場の引き出物をやめることになる:会場で頼まない形になるので、持ち込みと式場注文どっちがお得?で扱った持ち込み料の話が絡みます
並べてみると、どれも「やってみないと分からない」種類のものではありません。聞いた時点で面倒さが見えるので、検討に入る前に外れる。38.1%という数字は、そう読むと説明がつきます。
招待状はWebが3割、引き出物の宅配は1割
同じ調査の同じ692人に、ほかの「置き換え」についても聞いています。並べると形が見えます。
- Web招待状を用意した:32.8%
- Web席次表を用意した:19.6%
- 引出物宅配便を取り入れた:11.5%
設問の形式は違います(招待状と席次表は複数回答、宅配は単一回答)が、母数はいずれも同じ692人です。きれいに数字が下がっていきます。
招待状と席次表は情報を渡すものです。届け方を変えれば、中身ごと置き換わります。一方で引き出物は物を渡すもの。届け方を変えても物は物のままで、手間が移動するだけです。
紙をやめる流れは結婚式の招待状はWebと紙どっち?と結婚式の席次表は必要?にまとめました。引き出物だけが取り残されているのには、それなりの理由があるということになります。
費用はどう変わるのか
そもそもギフトにいくらかけているのかも見ておきます。
- ギフトの総額:平均14万7,000円。54.6%が10万円未満です
- ギフトの用意数:平均47.1人分
この2つは回答者が違うので割り算はできません。ただ、総額の過半数が10万円未満だという点は押さえておいてください。もともと大きな費目ではないということです。
宅配にすると、式場の持ち込み料の話は関係なくなる一方で、1件ずつの送料が乗ります。事業者の記事には自社顧客の平均節約額が出ていますが、これは自社データなので、そのまま一般化はできません。自分の人数で、送料込みの総額を出してもらって比べるのが確実です。
ゲストにとってのメリットとデメリット
手ぶらで帰れるのは、はっきり楽です。とくに二次会に出る人、電車で来た人、遠方から来た人には効きます。結婚式の料理の相場で見たとおり、ゲストは飲食のあとに引き出物を持って移動することになります。
一方で、受け取る側にも手間はあります。在宅していないと再配達になりますし、当日は何ももらわずに帰ることになります。「もらった実感」がないという声は、事業者側の記事にも出てきます。

どちらが親切かはゲストの構成で変わります。全員一律で決める話ではありません。実際、一部のゲストだけに取り入れた人が3.6%いました。
そもそも「重い」のか
宅配のいちばんの売りは荷物を持ち帰らせないことです。だとすれば、何を渡しているのかを確かめる価値があります。同じ調査のギフトの内容です。

- 引出物:54.8%
- 引菓子:45.3%
- プチギフト:39.2%
- 引菓子以外の食べ物・飲み物:19.4%
- ギフトは用意していない:14.5%
複数回答なので合計は100%を超えます。ここで目を留めたいのは、引出物そのものを用意した人が54.8%だという点です。引き出物と引菓子をセットで用意するのが当たり前、という前提はもう崩れています。
そしてカタログギフトのように軽いものを選べば、そもそも重くなりません。宅配で解こうとしている問題は、中身の選び方でも解けることがあります。品数と中身の決め方は結婚式の引き出物の選び方にまとめました。
使うなら、先に決めておく4つ
住所をいつ、どう集めるか
ここが最初のハードルです。紙の招待状の返信はがきなら住所欄がありますが、Web招待状を使うなら入力項目に住所を足しておく必要があります。結婚式の招待状はWebと紙どっち?で書いたとおり、いまは紙とWebの併用がいちばん多いので、集め方も2通りになります。
当日、手ぶらで帰すのか
何も渡さないことに抵抗があるなら、引き菓子やプチギフトだけ当日に渡すという形があります。結婚式のプチギフトにまとめたとおり、プチギフトは39.2%が用意しています。ここを残せば「何ももらえなかった」にはなりません。
誰に宅配で、誰に手渡しか
遠方のゲストや二次会に出る人だけ宅配にして、親族には当日渡す。この「一部だけ」は実際に3.6%が選んでいます。贈り分けの考え方そのものは結婚式の引き出物の選び方にまとめました。
いつ届くようにするか
意外と抜けるのが配送日です。式より前に届くと、当日は「もう届きました」という話から始まります。逆に遅すぎると、式の記憶が薄れてから届くことになります。
どのタイミングを勧めているかは、式場や事業者によって案内が違います。遠方のゲストは日数も読みにくいので、申し込む前に聞いておいてください。
ちなみに、当日アイテムを「用意しない」という判断は引き出物に限りません。ウェルカムスペースはいくらかかる?で並べたとおり、ギフトそのものを用意しなかった人も14.5%います。
まとめ
- 引出物宅配便を知っていたのは65.6%、実際に使ったのは11.5%(全員に7.9%+一部に3.6%)
- 知っている人の8割強が使っていません。最大の塊は「知っていたが、検討しなかった」38.1%
- 若い層ほど知っているのに、いちばん使っているのは35歳から39歳(13.5%)
- 「増えている」と書く記事はありますが、普及率の数字は出てきません。上位は宅配サービスを売る会社が中心です
- 使うなら、住所の集め方・当日に何を渡すか・誰に宅配するかを先に決める
- 数字はリクルートブライダル総研 結婚マーケット調査2025(トレンド編・692人)