結婚指輪は買うものだ、と思われています。指輪の記事を読むと「9割以上が購入している」という数字が並び、話はすぐに相場とブランドに移ります。
ところが別の調査を見ると、違う景色が出てきます。結婚指輪を「いずれも用意しなかった」人は、夫側14.2%・妻側14.4%。7人に1人です。さらに新品を買った人は夫側65.0%にとどまり、残りはリフォームや手作りでした。
数字はリクルートブライダル総研の結婚マーケット調査2025(既婚編)から、821人の結果です。夫側と妻側を別々の設問で聞いています。どちらも単一回答です。費用は金額を答えた人だけの集計で、夫側153人・妻側155人・セット価格289人です。合算・差の計算・倍率など、報告書に載っていない計算を当サイトで行った場合は、その都度ことわりを入れています。
婚約指輪のほうは婚約指輪は必要?にまとめています。素材やブランドの選び方は結婚指輪の選び方完全ガイドにあります。この記事は「用意しない」という選択がどれくらいあるのかに絞ります。
結婚指輪を用意しなかったのは夫側14.2%・妻側14.4%|7人に1人
まず全体です。どうやって用意したかを6つの選択肢から1つ選んでもらった結果を、夫側と妻側で並べます。
- 新たに購入した(フルオーダー、セミオーダーを含む):夫側65.0%・妻側66.0%
- リフォームした(事業者に依頼):夫側8.8%・妻側8.0%
- リフォームした(自分たちで手作り):夫側6.2%・妻側5.5%
- 自分たちで手作りした:夫側5.5%・妻側5.8%
- その他:夫側0.2%・妻側0.2%
- いずれも用意しなかった:夫側14.2%・妻側14.4%
夫側と妻側で、割合はほとんど変わりません。ただしこの調査は夫側と妻側を別々の設問で聞いているので、同じ二人組の中で片方だけ用意したのかどうかまでは分かりません。読み取れるのは「全体として、どちらの側も同じくらいの割合で用意していない」ということまでです。
注目したいのは新品購入が3分の2どまりだということです。用意した人のうち、新たに買った以外の方法を選んだのは夫側20.7%・妻側19.5%(この合算は当サイトによるものです)。リフォームだけで夫側15.0%あります。母親や祖母の指輪を作り直すという選択が1割台半ばあり、手作りまで含めると2割になります。
用意した人の合計は夫側85.7%・妻側85.5%です(これも当サイトの合算です)。

よく見る「1.4%」と10倍違う|数えているものが違います
結婚指輪の記事を検索すると、まったく違う数字が出てきます。指輪のブランドが運営するメディアでは、「購入した98.2%、購入していない1.4%」という数字がよく引用されています。引用元はこれを「ゼクシィ結婚トレンド調査2020(首都圏版・全国推計値)、5,392組」と書いています。
14.2%と1.4%。10.1倍の開きがあります(この倍率は当サイトによる計算です)。どちらかが間違っているわけではありません。理由は2つあります。
1つ目は母集団です。ゼクシィ結婚トレンド調査は、ゼクシィの読者やネット会員が対象でした。結婚マーケット調査2025は「結婚マーケット全体を反映した市場調査へ対象を拡大」したと明記されています。結婚情報誌を見て準備を進める層と、そうでない人まで含めた全体とでは、指輪を買う割合が変わります。当サイトでは婚約指輪は必要?と結婚式をしない選択でも、同じ構図の差を扱いました。
2つ目は設問の作りです。結婚マーケット調査2025は、「新たに購入した」「リフォームした」「自分たちで手作りした」を別々の選択肢にして、1つだけ選ばせています。「購入したかどうか」の2択で聞けば、リフォームや手作りをした人も「用意した」側に入ります。用意した人をまとめれば85.7%になるので、差はかなり縮まります。
POINT:「9割以上が買っている」という数字を見て焦る必要はありません。母集団を広げると、用意しなかった人は7人に1人います。そして用意した人の2割は、新品を買っていません。用意のしかたは「買う」か「買わない」かの2つではありません。新品を買う、事業者にリフォームを頼む、自分たちでリフォームする、自分たちで手作りする。この4通りあります。
なお、指輪の記事の上位は指輪を売っている会社が運営するメディアが多くを占めます。数字そのものを疑う必要はありませんが、どの調査のどの設問を引いているかは見ておく価値があります。出典が書かれていない「約20%」のような数字も見かけました。

年齢で倍以上違う|40歳以上は27.9%が用意していない
年齢別に見ると、同じ14.2%の中にかなりの幅があります。夫側の「いずれも用意しなかった」です。カッコ内は調査数です。
- 40歳以上(49人):27.9%。4人に1人以上が用意していません
- 35歳から39歳(96人):20.2%
- 24歳以下(142人):15.3%
- 25歳から29歳(368人):11.9%
- 30歳から34歳(166人):11.0%(最も低い)
40歳以上の27.9%は、30歳から34歳の11.0%の2倍を超えます。妻側も同じ形で、40歳以上26.5%に対して30歳から34歳9.8%でした。
そして40歳以上は新品購入が5割を切ります。夫側47.6%・妻側48.9%です。全体の65.0%・66.0%と比べると夫側で17.4ポイント、妻側で17.1ポイント低く、代わりに夫側の「リフォームした(自分たちで手作り)」が14.2%と、全体の6.2%の2倍以上になります。
逆に新品を買う割合がいちばん高いのは25歳から29歳の74.9%でした。年齢が上がるほど、新品を買わずに済ませる形が増えていきます。再婚かどうかまでは調査から読み取れませんが、親や祖母の指輪を受け継げる年齢になっている、という面はありそうです。
40歳以上は調査数が49人と小さいので、幅のある数字として見てください。1人の回答が2ポイント動かします。

費用は夫側16.4万円・妻側20.0万円|セットで32.1万円
用意した人が払った金額です。夫側・妻側・セット価格の3つが別々に集計されていて、答えた人も違います。
- 夫側(153人):平均16.4万円。最も多い区分は8万円から12万円未満の26.5%、次が12万円から16万円未満の25.0%
- 妻側(155人):平均20.0万円。最も多い区分は12万円から16万円未満の26.9%、次が8万円から12万円未満の21.2%
- セット価格(289人):平均32.1万円
- 16万円未満に収まるのは夫側62.5%・妻側57.3%(この合算は当サイトによるものです)
- 40万円以上は夫側3.5%に対して妻側8.2%と、妻側が2倍以上います
妻側のほうが3.6万円高いという結果でした。上のほうに高い人がいるぶん、平均が引き上げられています。
注意点がひとつあります。夫側16.4万円と妻側20.0万円を足すと36.4万円ですが、セット価格の平均は32.1万円です。一致しません。答えた人がそれぞれ違うためで、計算が合わないわけではありません。二人分の目安としては、セット価格の32.1万円を見てください。
ゼクシィの数字と比べると、どれも高めに出ます
金額のほうも、よく見る数字と比べておきます。ゼクシィ結婚トレンド調査2024(全国推計値)では二人分で30万6,000円、妻の指輪16万1,000円、夫の指輪13万4,000円でした。
- 二人分:ゼクシィ30万6,000円/結婚マーケット調査32.1万円(1.5万円の差)
- 妻側:ゼクシィ16万1,000円/結婚マーケット調査20.0万円
- 夫側:ゼクシィ13万4,000円/結婚マーケット調査16.4万円
用意しなかった人の割合では10倍の開きがあったのに、金額のほうは結婚マーケット調査のほうがどれも高いという逆の結果です。そして両方の調査で、妻側のほうが高い向きは一致しています(ゼクシィは2.7万円差、結婚マーケット調査は3.6万円差)。
これは矛盾ではありません。用意する人の割合が下がっても、用意した人が払う額は下がらないということです。買う人はしっかり買っている、と読めます。
婚約指輪と比べると、婚約指輪は必要?のとおり婚約記念品として指輪を用意した258人の平均は43.8万円です。結婚指輪のセット32.1万円より11.7万円高いことになります。二人分の結婚指輪より、1本の婚約指輪のほうが高いという関係です。
用意しないと決める前に、確認しておきたいこと
- 「買わない」の前に、リフォームと手作りを見る。用意した人の2割は新品を買っていません。親や祖母の指輪があるなら、リフォームは夫側15.0%が選んでいる現実的な選択肢です
- 二人で向きをそろえる。用意しなかった割合は夫側14.2%・妻側14.4%とほぼ同じですが、調査は片方だけ用意した人の割合までは出していません。どちらか一方だけにするなら、理由を先に話しておいてください
- 親に一度聞く。年齢が上がるほどリフォームが増えます。受け継げる指輪があるかどうかは、聞いてみないと分かりません。結納や顔合わせの場で話題にする手もあります
- 予算は二人分で32.1万円を基準にする。夫側と妻側の平均を足した36.4万円ではありません。16万円未満に収まる人が6割前後いるので、そこを上限にする組み方もできます
- 結婚式の費用とは別に積む。指輪は式場の見積もりとは別に用意するのが一般的です。結婚式の費用は誰が出す?で親の援助を含めて考えるときも、指輪は別立てで数えてください
- あとから買ってもいい。記念日に合わせて用意する人もいます。今の時点で用意しないことと、一生用意しないことは別です
よくある質問
Q. 結婚指輪を買わないのは少数派ですか?
少数派ではありますが、珍しくはありません。結婚マーケット調査2025では、いずれも用意しなかった人が夫側14.2%・妻側14.4%。7人に1人です。指輪メディアがよく引用する「購入していない1.4%」はゼクシィ結婚トレンド調査2020の数字で、対象者の範囲が違います。
Q. 結婚指輪の相場はいくらですか?
二人分のセット価格で平均32.1万円(289人)です。別々に見ると夫側16.4万円(153人)、妻側20.0万円(155人)。16万円未満に収まる人が夫側62.5%・妻側57.3%いるので、平均より低い価格帯が実際には多数です。素材やブランドの選び方は結婚指輪の選び方完全ガイドにまとめています。
Q. 親の指輪をリフォームするのは変ですか?
変ではありません。リフォームを選んだ人は夫側15.0%います(事業者に依頼8.8%と自分たちで手作り6.2%の合計。この合算は当サイトによるものです)。40歳以上では自分たちで手作りするリフォームが14.2%と、全体の2倍以上になります。
Q. 婚約指輪と結婚指輪、どちらにお金をかけますか?
金額では婚約指輪のほうが高くなります。婚約記念品として指輪を用意した258人の平均は43.8万円、結婚指輪のセットは32.1万円で、11.7万円の差です。ただし婚約指輪は3組に1組が用意していません。どちらを優先するかで、総額はかなり変わります。
Q. 結婚式をしないなら、指輪も要りませんか?
別の話です。この調査は結婚式をしたかどうかに関係なく821人全員に聞いています。用意しなかった14.2%の中には、結婚式をした人も含まれます。式をしない場合の進め方は結婚式をしない選択にまとめています。
まとめ
- 結婚指輪をいずれも用意しなかったのは夫側14.2%・妻側14.4%。7人に1人です
- 新たに購入したのは夫側65.0%・妻側66.0%にとどまります。用意した人の2割(夫側20.7%)は新品を買っておらず、リフォームか手作りでした
- 指輪メディアがよく引用する「購入していない1.4%」とは10.1倍の開き。母集団の広さと、設問の作り(リフォームと手作りを分けて聞いている)の2つで説明がつきます
- 年齢で倍以上違います。40歳以上は27.9%が用意せず、新品購入も47.6%と5割を切ります。最も低いのは30歳から34歳の11.0%
- 費用はセット価格で平均32.1万円、夫側16.4万円・妻側20.0万円。妻側が3.6万円高く、16万円未満に夫側62.5%・妻側57.3%が収まります
- ゼクシィの数字と比べると、用意しない割合は10倍違うのに、金額はどれも結婚マーケット調査のほうが高い。用意する人は減っても、用意した人が払う額は下がっていません
「買うのが当たり前」と言われると、買わない選択がしにくくなります。実際には7人に1人が用意しておらず、用意した人の2割は新品を買っていません。用意のしかたは4通りあります。婚約指輪のほうは婚約指輪は必要?、素材やブランドの決め方は結婚指輪の選び方完全ガイドに続きます。