冬の結婚式の服装|コート・羽織もの・防寒とクロークのマナー

冬の結婚式の服装|コート・羽織もの・防寒とクロークのマナー

冬の結婚式は、寒さ対策とマナーの両方を考えることになります。ただ、この2つは同じ場所で必要になるわけではありません。

会場までの移動では防寒が要りますが、会場の中は暖房が効いていて暑いくらいのことすらあります。つまり冬の装いは、移動用と会場内用を分けて考えるとすっきりします。コートは移動用でクロークに預けるもの、羽織ものは会場内で使うもの、と役割が違います。

この記事では、男女別のコートの選び方、クロークで預けるものと手元に残すもの、タイツが何デニールまで許されるかを整理します。

防寒は「移動用」、会場内は通常どおり

最初に押さえておきたいのは、会場内での装いは冬でも普段のお呼ばれと変わらないということです。季節に合わせて厚着をしていく場ではありません。

  • 移動用:コート、マフラー、手袋。会場に着いたら脱いでクロークへ預けます
  • 会場内用:ドレスと羽織もの。ここは季節を問わず同じ基準です

寒さが不安でも、会場内で着込む方向で解決しようとしないでください。脱げるもので調整するのが冬の基本です。防寒は会場に入るまでの装備、と割り切ると迷いません。

会場内での服装の基準そのものは平服と言われたときの服装マナーで男女別に整理しています。

冬らしさは素材と色で出す

会場内の基準は季節を問わないと書きましたが、季節感を出す余地はあります。出す場所は素材と色です。

素材は季節より時間帯が優先

冬向きとして名前が挙がるのはベロアやベルベットです。厚みがあって透けず、見た目にも季節感が出ます。ただしこの2つには光沢があります。ここで昼夜の基準と関わってきます。

結婚式の素材は、季節よりも昼か夜かで決まります。昼は光沢を抑えたもの、夜はツヤのあるものが映えるという基準があり、これは冬でも変わりません。

  • 昼の式:ウールなど、厚みはあってもツヤの少ないものが確実です。ベロアも起毛のぶんサテンほど強く反射しないので、マットな質感のものなら昼でも使えるとする解説もあります。避けたいのは強く光を返すタイプです
  • 夜の式:ベロアやベルベットが活きます。照明に映える素材なので、冬の夜にはむしろ向いています

つまり季節で素材を決めるのではなく、光沢の強さで判断すると両立します。同じベロアでも、深く沈んだ色のものと、照明を強く返すものでは印象がまったく違います。昼夜の基準は平服と言われたときの服装マナーで図にしてあります。

色は深みのあるものが冬になじむ

ボルドーやワインレッド、深いグリーンといった濃く深い色は、それだけで冬らしく見えます。年末の式やクリスマス時期の式では特になじみます。

色で気をつける点は季節と関係なく同じで、白や白に近い色は新婦の色なので避けます。全身が黒一色になるのも弔事を思わせるため、羽織ものやアクセサリーで色を足してください。

コートの選び方

コートは会場に入る前に脱ぐものですが、受付の人や他のゲストの目には必ず触れます。ここだけカジュアルだと全体が崩れるので、フォーマルに寄せたものを選びます。

女性のコート

丈はロングでもショートでも構いません。判断の軸は長さではなく、フォーマルな場にふさわしい形と素材かどうかです。無地で、装飾の少ないきれいめのものを選べば失敗しません。

冬の結婚式の女性ゲストのコート姿。無地のチャコールグレーのウールコートの下にボルドーのドレス、ベージュのストッキングと黒のパンプス
装飾のない無地のコートなら、丈がロングでもショートでも問題ありません。裾から見えているのが会場内で着るドレスで、深い色は冬になじみます。

男性のコート

  • チェスターコート:襟がジャケットと同じ形をしていて、もっともフォーマルに寄ります。黒を持っておくと慶事にも弔事にも使えます
  • ステンカラーコート:襟が後ろ高になった定番の形で、スーツに合わせやすい選択です
  • トレンチコート:ベージュや紺の落ち着いた色なら問題ありません
冬の結婚式の男性ゲストのコート姿。黒のチェスターコートにネイビーのスーツ、白いシャツとシルバーグレーのネクタイ、黒の革靴。濃紺のマフラーを手に持っている
チェスターコートは襟がジャケットと同じ形をしているのが特徴です。黒を選んでおくと慶事にも弔事にも使えます。マフラーは会場でコートと一緒に預けます。

避けたいコート

  • モッズコート、ダッフルコート:もともと普段着の形なので礼装に合いません
  • ニット、ナイロン、フリースの素材:どれも普段着の印象になります

ダウンやファーは本当にだめなのか

ここは解説によって答えが割れています。多くの記事はダウンコートやファー付きのコートを避けるべきとしていますが、フォーマルを扱う専門団体は「会場に行くまでの外で着るものなので、どんなコートでも問題ない」という見解を示しています。会場に着いたらクロークへ預けるのだから、という理屈です。

どちらを取るかは、次のように考えると決めやすくなります。

  • 手持ちで済ませるなら:ダウンでも構いません。会場で必ず脱ぐので、それ自体がマナー違反になるわけではありません
  • 新しく買うなら:フォーマルに寄せたものを選んでおくと、この先の慶弔どちらでも使えます

ただしファーは会場内に持ち込まないでください。取り外せるファーが付いている場合は外しておくと確実です。慶事で毛皮を避けるのは殺生を思わせるためで、これは会場の中の話です。

POINT:コートは脱ぐものなので、迷ったら中に着るもののほうを優先してください。コートに予算を割くより、会場内で見られる装いを整えるほうが効きます。手持ちに合うコートがない場合、無地の落ち着いたきれいめのもので十分です。

クロークで迷わないために

冬はコートとマフラーが加わるぶん、クロークを使う場面が増えます。手順を知っておくと当日の動きが速くなります。

預けるのは受付の前

会場に着いたらまずコートを脱ぎ、受付をすませる前にクロークへ預けます。コートを腕にかけたまま受付に並ぶと、ご祝儀を出すときに手がふさがります。

預けたあとで荷物が必要になっても構いません。受付後にもう一度行くことも、披露宴の途中で取りに行くこともできます。

結婚式場のクロークでコートを預ける場面。たたんだチャコールのウールコートをカウンター越しにスタッフへ渡し、番号札がカウンターに置かれている
受付に並ぶ前に、コートとマフラーをここで預けます。番号札を受け取るので、なくさないよう手元のバッグへ入れてください。

預けるもの、手元に残すもの

  • 預けるもの:コート、マフラー、手袋、サブバッグ、仕事帰りのビジネスバッグ、遠方から来た場合のスーツケース
  • 手元に残すもの:財布、スマートフォン、ご祝儀、貴重品。貴重品はクロークで預かってもらえないことが多いためです

POINT:冬にやりがちなのが、ご祝儀をコートのポケットに入れたまま預けてしまう失敗です。会場に着いたらコートを脱ぐので、そのまま渡してしまうと受付の直前で慌てることになります。ご祝儀は最初からバッグの中へ入れておいてください。

混雑を見込んでおく

クロークは全員が同じ時間帯に使うので、受付前と退場後は行列になります。特に帰りは一斉に集中します。荷物をまとめて往復の回数を減らしておくと、待ち時間が短くなります。

当日の持ち物は結婚式の持ち物リストにまとめています。

羽織ものは会場内で使うもの

コートと羽織ものは、どちらも上に着るものですが役割が違います。羽織ものは会場内で着たままにできるもので、肩の露出を抑える役目も兼ねます。

  • ストール、ショール:カシミヤなど上質な素材のものが向きます。肩に掛けるだけなので着脱が楽です
  • ボレロ:五分丈か長袖のものを選びます。袖があるぶん暖かく、肩もしっかり隠せます
  • ジャケット:もっとも暖かい選択です。袖が通せて、裏地があるものならなお暖かくなります

ファーのボレロやショールは避けます。慶事で毛皮を避けるという理由に加えて、毛量の多いものは料理に毛が落ちるという実際的な問題もあります。

同じ理由で、ヘビ革やワニ革のバッグも避けます。冬は素材が重くなりがちで革小物を合わせたくなる季節ですが、動物を思わせるものは慶事に向きません。

気をつけたいのは、本物の革でなくても同じ扱いになることです。牛革に型押ししたものや、単にヘビ柄・ヒョウ柄をプリントしただけのものも避けます。素材ではなく柄が何を連想させるかで判断されるためです。

羽織ものの使い方は親族の服装マナーでも触れていて、黒い装いが多くなる親族では色を足す役割も持ちます。

披露宴会場の中でストールを羽織った女性ゲスト。深いグリーンの袖ありドレスにベージュのカシミヤのストール、パールのネックレスとイヤリング
コートを預けたあとは、これが会場内の装いです。ストールは着たままで構いません。コート姿の写真と見比べると、外と中で役割が分かれているのが分かります。

脚元|ストッキングとタイツの境目は30デニール

冬にいちばん質問が多いのがここです。タイツはフォーマルな場には向きませんが、では何をもってタイツと呼ぶのかがはっきりしないまま「タイツはだめ」とだけ言われがちです。

分けているのは厚さで、単位はデニールです。

結婚式で履けるストッキングの厚さ 30デニールがストッキングとタイツの境目です。25デニールまでが結婚式で安心な範囲、25から30デニールは冬なら許容される範囲、30デニールを超えるとタイツとみなされるため避けます。 安心して履ける 冬ならここまで タイツとみなされる 0 10 20 30 40 50 60 デニール(数字が大きいほど厚い) 30デニールがストッキングとタイツの境目 色は肌になじむベージュ。黒は厚さにかかわらず避けます
ストッキングとタイツを分けているのは厚さで、30デニールが境目です。結婚式では25デニールまでとする解説が多く、冬は20から30デニールをすすめる解説もあります。つまり30を超えなければ許容範囲と考えて差し支えありません。ただし厚さの前に色が優先で、黒は何デニールでも避けます。

厚さの前に色が優先されます。黒は何デニールでも避けてください。喪服を連想させるためで、これは季節に関係ありません。肌になじむベージュを選びます。

それでも寒い場合の方法は2つあります。

  • 重ね履きをする:ストッキングを2枚重ねても、カジュアルには見えません
  • ロング丈のドレスにする:脚が隠れるので、寒さも露出も同時に解決できます

なお生足は季節を問わずいけません。冬でも夏でも同じです。

靴は冬でもパンプス

寒くてもブーツは避けます。ロングでもショートでも同じで、季節を問わずかかとのあるパンプスが基本です。靴はいちばん目につくところなので、ここをカジュアルにすると全体が崩れます。

雪や雨で足元が悪い日は、会場まで別の靴で行き、履き替える方法があります。履いてきた靴はクロークへ預けられます。パンプスを持って移動することになるので、その分だけ荷物が増えることを見込んでおいてください。

よくある質問

Q. コートを着たまま会場に入ってもいいですか?

本来は建物に入る前に外套を脱ぐのが正式とされていますが、ロビーに入った段階で脱げば十分という解説も多くあります。いずれにしても受付に並ぶ前には脱いでおくと考えておけば大丈夫です。真冬の屋外で脱ぐ必要まではないので、寒い日は建物に入ってからで構いません。

Q. クロークがない会場ではどうしますか?

小規模な会場やレストランウェディングでは、クロークがないこともあります。その場合は席の背もたれに掛けるか、控室に置くことになります。コートは裏返してたたんでおくと、外の埃を持ち込まずに済みます。荷物が置き場所に困らない量かどうかを考えて、持ち物を絞っておくと安心です。

Q. 会場内が寒かったらどうしますか?

羽織ものを着たままで構いません。ストールを肩に掛けたままでも失礼にはあたりません。逆に暖房が強くて暑い場合もあるので、脱ぎ着で調整できる形にしておくのがいちばん確実です。

Q. 子どもの冬の服装はどうしますか?

考え方は大人と同じで、移動用の上着は会場で脱がせます。子どもは体温調節が難しいので、会場内で着脱できる羽織ものを1枚持たせておくと安心です。年齢別の服装は子どもの服装マナーで解説しています。

Q. 和装の場合の防寒は?

着物の上に羽織るコートや道行きを使います。会場での扱いは洋装と同じで、着いたら脱いで預けてしまって構いません。黒留袖などの装いは母親の服装マナーにまとめています。

まとめ

  • 冬の装いは移動用と会場内用に分けて考える。会場内の基準は季節を問わず同じ
  • 冬らしさは素材と色で出す。素材は季節で決めず、光沢の強さで判断すると昼夜の基準と両立する
  • コートはフォーマルなものが無難。ただし会場で脱ぐので、手持ちのダウンで行くこと自体は違反ではない
  • 男性はチェスターコート、ステンカラーコート、トレンチコートが無難
  • クロークに預けるのは受付の前。ご祝儀はコートに入れず最初からバッグへ
  • 羽織ものは会場内で使うもの。ファーは避ける
  • ストッキングは30デニールが境目。色は黒を避けてベージュ。重ね履きは問題ない
  • 靴は冬でもパンプス。足元が悪い日は履き替える

寒さ対策とマナーは、場所を分けて考えれば両立します。会場に入るまでは暖かく、入ってからは季節を問わない装いに戻す。それだけのことだと思ってください。