会場装花は、初回の見積もりから金額が上がりやすい項目の代表です。打ち合わせで実物の写真を見せられ、そこから積み上げていくうちに気づけば倍近くになっていた、ということが起こります。
その理由は、装花が「一式でいくら」ではなく、飾る場所ごとの積み上げで決まるからです。しかも総額をいちばん動かすのは花のグレードではなく、ゲストテーブルの卓数です。ここを先に押さえておくと、見積もりの上がり方が読めるようになります。
この記事では、高砂やゲストテーブルなど場所ごとの相場、見積もりが上がる仕組み、削っていい部分と削らないほうがいい部分を整理します。
総額を決めるのはゲストテーブルの卓数
装花の見積もりは、飾る場所を1か所ずつ足していく形になっています。このうちゲストテーブルだけが卓数の分だけ倍になるので、ここが総額を左右します。

卓数は招待人数だけでは決まらない
意外に見落とされますが、卓数は招待人数を機械的に割って出るものではありません。1卓に何人座るかは、会場が持っているテーブルの大きさで変わります。
- 直径120センチから150センチの円卓:6人から8人
- 直径180センチから220センチの円卓:8人から10人
たとえば招待人数が50人前後の場合、1卓6人なら9卓、1卓8人なら7卓になります。2卓の差は、1卓5,000円なら1万円、1卓1万円なら2万円の差です。花のランクを上げなくても、この時点で金額が動きます。
しかも最大人数まで詰めればよいわけではありません。8人掛けの円卓に8人座らせると窮屈になるため、6人程度に抑える提案を受けることもあります。座り心地を取れば卓数が増え、装花も増えるという関係になっています。
POINT:会場には「使えるテーブルの形と大きさ」「1卓の最大人数」「窮屈にならない人数」の3つを聞いてください。この3つが決まらないと卓数が決まらず、卓数が決まらないと装花の総額も出ません。席の並べ方そのものは席次の決め方にまとめています。
高砂とゲストテーブル、場所ごとの相場
飾る場所ごとの目安は次のとおりです。金額に幅があるのは、選ぶ花の種類と生け方で大きく変わるためです。
高砂の下限は解説によって差があり、3万円台からとするものもあります。ただし多くは5万円からとしているので、この記事では5万円を目安にしています。
このほか、挙式会場を使う場合は祭壇まわりの装花や、椅子に飾るチェアフラワーが加わります。新婦が持つブーケとブートニアは会場装花とは別枠で、平均は5万円弱です。
これらを足した会場装花の合計は、出典によって幅がありますが16万円台後半から18万円あたりが平均として挙げられています。ただし卓数と選ぶ花で上下するので、平均を目標にするより自分の卓数で計算したほうが実態に近づきます。

挙式会場の装花は別に数える
ここまでは披露宴会場の話です。挙式を行う場合はそちらの装花が別に必要になります。
- 祭壇まわり:2万円から5万円ほど。いちばん後ろの席からも見えるようにボリュームを出すため、高くなりやすい場所です
- チェアフラワー:椅子の脇に付ける飾りで、1つ500円から2,000円ほど。列の数だけ必要になるので、会場が広いほど積み上がります
チェアフラワーはゲストテーブルと同じで、単価は小さくても数で効いてくる項目です。何列に付けるのかを先に決めておくと総額が読めます。
POINT:挙式会場の装花は、最初から挙式料に含まれている会場もあります。別料金だと思って身構えていたら込みだった、ということが起こるので、見積もりのどこに入っているかを確認してください。なお神社や館内の神殿で神前式をする場合は、装花を使わないか、ごく控えめにするのが一般的です。神殿そのものの設えを生かすためで、そのぶん費用は抑えられます。

なぜ見積もりが上がるのか
装花が上がりやすいのには、はっきりした理由が3つあります。仕組みが分かると、どこを動かせば下がるのかも見えてきます。
- 手数料が乗っている:多くの場合、式場と提携している花屋に依頼する形になります。外部の花屋へ直接頼むより、あいだに入る分の手数料が上乗せされます
- 技術料がかかる:茎に針金を通して形を作る、花びらを1枚ずつ留めるといった手のかかる生け方は、その手間が金額に反映されます
- 予備を多めに仕入れている:当日の状態がよいものだけを使うため、必要な本数より多く仕入れます。傷んだものを外せるようにするための費用です
そしてもうひとつ、初回の見積もりには最低ランクの装花が入っていることがほとんどです。打ち合わせで実物や写真を見て「これくらいにしたい」と思った時点で、そこから積み上がっていきます。上がったのではなく、最初が下限だったというのが実態に近い見方です。
最低ランクのままにするとどう見えるのか
気になるのはここだと思いますが、会場によって最低ランクの水準がまったく違うため、一律には言えません。それなりに見える会場もあれば、テーブルに小さな花が乗っているだけという会場もあります。
確かめる方法はひとつです。打ち合わせで「この見積もりの金額だと、実際にはどんな装花になりますか」と聞いて、その価格帯の実物写真を見せてもらってください。カタログの完成イメージではなく、その会場で実際に納品された写真を頼むのが大事です。見てから決めれば、上げるにしても納得して上げられます。
見積もりで確認しておきたい項目は式場の選び方にも一覧があります。
削っていいところ、削らないほうがいいところ
装花は削れる項目ですが、削り方を間違えると写真に残る部分が寂しくなります。順番があります。
削りやすい|花の種類を指定しない
花は種類によって単価が大きく違います。たとえばガーベラが1本150円ほど、バラが1本300円ほどというように、2倍以上の開きが出ることがあります。旬を外れた花はさらに高くなります。
「この花を使いたい」という強いこだわりがないなら、種類を指定せずに任せるだけで下がります。
削りやすい|生け方をクラッチ型にする
花束の形にまとめてガラスの花器に挿すクラッチタイプは、手を加える工程が少ないぶん技術料がかかりません。凝った造形にするほど人の手間が増えて上がるので、形を単純にするのは効きます。
削りやすい|色とテイストと予算だけ伝える
花の指定をせず、「白とグリーンで、ナチュラルな雰囲気、1卓5,000円で」という伝え方をすると、その予算の中で組んでもらえます。品目を1つずつ選ぶより現実的です。
削りやすい|花以外のもので見せる
花の量を減らしても、隙間の埋め方を変えれば寂しくなりません。
- グリーンを多めにする:葉ものは花より単価が低いので、量を確保しながら金額を下げられます。ナチュラルな雰囲気にも寄せられます
- キャンドルや花器で見せる:大小のキャンドルを並べるだけでも卓上の印象が変わります。花を主役にしない構成にする考え方です
- 造花は場所を選んで使う:ケーキ入刀のナイフやキャンドルの点火棒に添える花、挙式会場の装花などは、ゲストが間近で見る場所ではないため造花でも気づかれにくくなります。逆に高砂やゲストテーブルは目の前で見られるので向きません

削らないほうがいい|高砂まわり
高砂は集合写真と歓談中の写真に必ず入る場所です。ゲストがスマートフォンを向けるのもここになります。金額としては最も大きい項目ですが、削った影響がいちばん残るのもここです。
減らすならゲストテーブルから検討するほうが、写真への影響を抑えられます。費用のかかりにくい演出はお金がかかりにくい演出アイデアにまとめています。
装花は持ち込みで安くなるのか
節約の手段として持ち込みを考える人は多いのですが、会場装花については持ち込めないことが多いのが実情です。
- 設営と撤収の時間が限られる:披露宴が始まる直前に飾り、終わったらすぐに片づける必要があります
- 衛生面の管理が要る:料理が並ぶテーブルに飾るものなので、会場側が状態を管理できない持ち込みは受けにくくなります
ただし同じ会場装花でも場所によって扱いが違います。料理が並ぶテーブルまわりは断られることがほとんどですが、ウェルカムスペースなら持ち込みを認めている式場もあります。ここは一括りにせず、場所ごとに聞いてみる価値があります。
そしてブーケは持ち込みのハードルがもっとも低く、持ち込み料を払えば受け入れる式場が多く、料金を取らない式場もあります。持ち込みを検討するなら、まずブーケから考えるほうが現実的です。
POINT:持ち込みで得になるかは、本体の代金と持ち込み料を足した合計で比べないと分かりません。同じ考え方は引き出物の持ち込みと式場注文の比較でも解説しています。
目安として、ブーケの持ち込み料は3,000円から5,000円ほどとされることが多く、式場によっては2万円近くかかることもあります。一方でブーケ本体は、式場を通すと3万円から5万円、外部の花屋に頼むと生花で1万5,000円から3万円ほどという幅があります。持ち込み料を足しても外部のほうが安くなることが多いのは、この差があるためです。
ただし式場によって持ち込み料の設定はかなり違うので、金額を聞いてから計算してください。
打ち合わせで聞いておくこと
装花の打ち合わせは、実物を見ながら感覚で決めていくと積み上がります。数字で確認できることを先に聞いておくと、判断が楽になります。
- 初回見積もりの装花はどのランクか:下限の設定なのか、標準的な内容なのかで、その後の増え方が変わります
- 1卓の人数と卓数:ここが決まらないと総額が出ません
- 1卓のランクを上げるといくら増えるか:卓数分かかるので、1卓あたりの差額に卓数を掛けた金額で考えます
- 持ち込みの可否と料金:会場装花とブーケで扱いが違うので、分けて聞きます
- 式のあとの花をどうできるか:持ち帰りやゲストへのお裾分けができる会場もあります
準備全体の進み方は式場決定後にやることリストで確認できます。
よくある質問
Q. 造花を使ってもいいですか?
会場によります。生花より安く抑えられることがあり、扱いも楽ですが、提携の花屋が生花しか扱っていない場合もあります。造花を検討するなら、打ち合わせの早い段階で可否を聞いておくと安心です。
Q. 季節によって金額は変わりますか?
変わります。旬の花は安く手に入り、季節を外れた花は高くなります。特定の花にこだわらず「この季節にきれいなもので」と任せるほうが、同じ予算でも量を確保しやすくなります。
Q. ウェディングケーキに花を飾れますか?
飾れますが、生ケーキの場合は食用として育てられた花に限られます。観賞用の生花をそのまま口に入るものに飾るのは衛生面から避けられます。イミテーションケーキなら食べないので自由に飾れます。詳しくはウェディングケーキの選び方で解説しています。
Q. 装花を減らすと寂しく見えませんか?
ゲストテーブルは、花の量よりもキャンドルや小物との組み合わせで印象が変わります。花を減らすぶん花器や配置で見せる方法もあるので、寂しくならない範囲を花屋に相談してみてください。
Q. 少人数や家族婚だと安く済みますか?
ゲストテーブルの卓数が減るぶんは下がります。一方で高砂は場所が1つなので、卓数のようには減りません。人数に比例する部分と、しない部分があるということです。
そのため少人数になるほど、総額に占める高砂の割合が大きくなります。ただし少人数向けのプランでは高砂の規模自体を小さくすることもあり、長テーブル1本にまとめる形なら高砂とゲストテーブルの区別がなくなります。少人数で検討しているなら、その人数での見積もりを出してもらうのが確実です。
Q. 式が終わった花はどうなりますか?
会場によって扱いが異なります。処分される場合もあれば、持ち帰れる場合、ゲストにお裾分けできる場合もあります。持ち帰りたいなら包む袋の用意が必要になることもあるので、事前に聞いておくと当日慌てません。
まとめ
- 装花は一式いくらではなく、飾る場所ごとの積み上げで決まる
- 総額を動かすのはゲストテーブルの卓数。1卓の人数が変われば卓数が変わる
- 高砂は5万円から10万円、ゲストテーブルは1卓3,000円から1万円が目安
- 上がるのは手数料・技術料・予備の仕入れが乗るため。初回見積もりは下限のことが多い
- 削るなら花の種類を任せる、生け方を簡単にする、色と予算だけ伝える
- 高砂は写真に必ず残るので最後に削る。減らすならゲストテーブルから
- 挙式をするなら祭壇とチェアフラワーが別に必要。チェアフラワーも列の数だけ積み上がる
- 会場装花は持ち込めないことが多い。持ち込むならブーケから検討する
装花は「いくらかかるか」ではなく「何をいくつ置くか」で決まります。卓数と場所を先に数えてしまえば、あとは1か所ずつ予算を当てはめるだけになります。