会場装花は、初回の見積もりから金額が上がりやすい項目の代表です。打ち合わせで実物の写真を見せられ、そこから積み上げていくうちに気づけば倍近くになっていた、ということが起こります。
その理由は、装花が「一式でいくら」ではなく、飾る場所ごとの積み上げで決まるからです。しかも総額をいちばん動かすのは花のグレードではなく、ゲストテーブルの卓数です。ここを先に押さえておくと、見積もりの上がり方が読めるようになります。
この記事では、高砂やゲストテーブルなど場所ごとの相場、見積もりが上がる仕組み、削っていい部分と削らないほうがいい部分を整理します。
あわせて、実際にいくら払われているのかも一次データで確かめます。数字はリクルートブライダル総研の結婚マーケット調査2025(トレンド編)から、使用状況と満足度は817人、費用は会場装花を使って金額を答えた303人が母数です。合算・比率・年月への換算など、報告書にそのまま載っていない数値は当サイトによる計算です。
総額を決めるのはゲストテーブルの卓数
装花の見積もりは、飾る場所を1か所ずつ足していく形になっています。このうちゲストテーブルだけが卓数の分だけ倍になるので、ここが総額を左右します。

卓数は招待人数だけでは決まらない
意外に見落とされますが、卓数は招待人数を機械的に割って出るものではありません。1卓に何人座るかは、会場が持っているテーブルの大きさで変わります。
- 直径120センチから150センチの円卓:6人から8人
- 直径180センチから220センチの円卓:8人から10人
たとえば招待人数が50人前後の場合、1卓6人なら9卓、1卓8人なら7卓になります。2卓の差は、1卓5,000円なら1万円、1卓1万円なら2万円の差です。花のランクを上げなくても、この時点で金額が動きます。
しかも最大人数まで詰めればよいわけではありません。8人掛けの円卓に8人座らせると窮屈になるため、6人程度に抑える提案を受けることもあります。座り心地を取れば卓数が増え、装花も増えるという関係になっています。
POINT:会場には「使えるテーブルの形と大きさ」「1卓の最大人数」「窮屈にならない人数」の3つを聞いてください。この3つが決まらないと卓数が決まらず、卓数が決まらないと装花の総額も出ません。席の並べ方そのものは席次の決め方にまとめています。
高砂とゲストテーブル、場所ごとの相場
飾る場所ごとの目安は次のとおりです。金額に幅があるのは、選ぶ花の種類と生け方で大きく変わるためです。
高砂の下限は解説によって差があり、3万円台からとするものもあります。ただし多くは5万円からとしているので、この記事では5万円を目安にしています。
このほか、挙式会場を使う場合は祭壇まわりの装花や、椅子に飾るチェアフラワーが加わります。新婦が持つブーケとブートニアは会場装花とは別枠で、平均は5万円弱です。
これらを足した会場装花の合計は、出典によって幅がありますが16万円台後半から18万円あたりが平均として挙げられています。ただし卓数と選ぶ花で上下するので、平均を目標にするより自分の卓数で計算したほうが実態に近づきます。

挙式会場の装花は別に数える
ここまでは披露宴会場の話です。挙式を行う場合はそちらの装花が別に必要になります。
- 祭壇まわり:2万円から5万円ほど。いちばん後ろの席からも見えるようにボリュームを出すため、高くなりやすい場所です
- チェアフラワー:椅子の脇に付ける飾りで、1つ500円から2,000円ほど。列の数だけ必要になるので、会場が広いほど積み上がります
チェアフラワーはゲストテーブルと同じで、単価は小さくても数で効いてくる項目です。何列に付けるのかを先に決めておくと総額が読めます。
POINT:挙式会場の装花は、最初から挙式料に含まれている会場もあります。別料金だと思って身構えていたら込みだった、ということが起こるので、見積もりのどこに入っているかを確認してください。なお神社や館内の神殿で神前式をする場合は、装花を使わないか、ごく控えめにするのが一般的です。神殿そのものの設えを生かすためで、そのぶん費用は抑えられます。

実測は平均7.4万円|58.3%は5万円未満
ここまでが積み上げの話です。では、実際にはいくら払われているのか。会場装花を使い、金額を答えた303人の結果を見ます。
- 5万円未満(0円を含む):58.3%
- 5万円から10万円未満:10.0%
- 10万円から15万円未満:8.6%
- 15万円から20万円未満:6.3%
- 20万円から25万円未満:7.1%
- 25万円以上:合わせて9.8%
平均は7.4万円。6割近くが5万円未満に固まっています。
先に書いた「16万円台後半から18万円あたり」は、15万円から20万円未満の帯にあたります。その帯に入っている人は6.3%です。
58.3%が5万円未満なのに、平均が7.4万円になる理由
分布の上のほうに、少人数ですが高い帯があるからです。30万円から35万円未満が5.3%、50万円以上が1.1%。ここが平均を上へ引っ張ります。平均7.4万円は、多数派が払っている額ではありません。
積み上げの計算と食い違うのは、数えている範囲が違うからでもあります。場所ごとの積み上げは高砂もゲストテーブルもケーキまわりも受付もすべてそろえた形を前提にしています。一方この303人には、食事会だけを行った人や、高砂まわりだけに絞った人も入っています。
積み上げの数字は「全部そろえたときの形」、実測の分布は「実際に選ばれている形」です。どちらも間違ってはいません。見ている場所が違います。
母数についても書いておきます。この303人は、会場装花を使い、なおかつ金額を答えた人だけです。817人の66.0%は約539人なので、使った人の6割弱が答えた数字ということになります。
そもそも3組に1組は使っていない|使用66.0%
母数の話が出たので、使用率も並べておきます。挙式や披露宴、食事会を実施した817人への単一回答です。
- 使った:66.0%
- 使わなかった:34.0%
3組に1組は会場装花を使っていません。少人数の食事会だった人や、会場に元からある飾りで済ませた人が含まれます。装花は必ず要るものではない、というのが出発点になります。
使う割合がいちばん低いのは40歳以上。ただし金額はいちばん高い
年齢別です。使用率と、使った人の平均額を並べます。母数が違うので、それぞれの人数も書いておきます。
- 24歳以下:使用67.2%(57人)/平均1.2万円(17人)
- 25歳から29歳:使用69.8%(192人)/平均6.9万円(67人)
- 30歳から34歳:使用71.8%(194人)/平均8.8万円(75人)
- 35歳から39歳:使用64.0%(148人)/平均5.9万円(55人)
- 40歳以上:使用58.8%(226人)/平均8.8万円(89人)
使う割合がいちばん高いのは30歳から34歳の71.8%、いちばん低いのは40歳以上の58.8%でした。
ところが平均額を見ると、40歳以上は8.8万円で、30歳から34歳と並んでいちばん高い。使う人は減るのに、使う人はかけるという形です。年齢が上がるほど、装花はやるかやらないかの判断になっていくのだと読めます。
なお24歳以下で金額を答えたのは17人しかいません。平均1.2万円という数字は幅を持って見てください。使用率のほうは57人です。
なぜ見積もりが上がるのか
装花が上がりやすいのには、はっきりした理由が3つあります。仕組みが分かると、どこを動かせば下がるのかも見えてきます。
- 手数料が乗っている:多くの場合、式場と提携している花屋に依頼する形になります。外部の花屋へ直接頼むより、あいだに入る分の手数料が上乗せされます
- 技術料がかかる:茎に針金を通して形を作る、花びらを1枚ずつ留めるといった手のかかる生け方は、その手間が金額に反映されます
- 予備を多めに仕入れている:当日の状態がよいものだけを使うため、必要な本数より多く仕入れます。傷んだものを外せるようにするための費用です
そしてもうひとつ、初回の見積もりには最低ランクの装花が入っていることがほとんどです。打ち合わせで実物や写真を見て「これくらいにしたい」と思った時点で、そこから積み上がっていきます。上がったのではなく、最初が下限だったというのが実態に近い見方です。
最低ランクのままにするとどう見えるのか
気になるのはここだと思いますが、会場によって最低ランクの水準がまったく違うため、一律には言えません。それなりに見える会場もあれば、テーブルに小さな花が乗っているだけという会場もあります。
確かめる方法はひとつです。打ち合わせで「この見積もりの金額だと、実際にはどんな装花になりますか」と聞いて、その価格帯の実物写真を見せてもらってください。カタログの完成イメージではなく、その会場で実際に納品された写真を頼むのが大事です。見てから決めれば、上げるにしても納得して上げられます。
見積もりで確認しておきたい項目は式場の選び方にも一覧があります。
削っていいところ、削らないほうがいいところ
装花は削れる項目ですが、削り方を間違えると写真に残る部分が寂しくなります。順番があります。
削りやすい|花の種類を指定しない
花は種類によって単価が大きく違います。たとえばガーベラが1本150円ほど、バラが1本300円ほどというように、2倍以上の開きが出ることがあります。旬を外れた花はさらに高くなります。
「この花を使いたい」という強いこだわりがないなら、種類を指定せずに任せるだけで下がります。
削りやすい|生け方をクラッチ型にする
花束の形にまとめてガラスの花器に挿すクラッチタイプは、手を加える工程が少ないぶん技術料がかかりません。凝った造形にするほど人の手間が増えて上がるので、形を単純にするのは効きます。
削りやすい|色とテイストと予算だけ伝える
花の指定をせず、「白とグリーンで、ナチュラルな雰囲気、1卓5,000円で」という伝え方をすると、その予算の中で組んでもらえます。品目を1つずつ選ぶより現実的です。
削りやすい|花以外のもので見せる
花の量を減らしても、隙間の埋め方を変えれば寂しくなりません。
- グリーンを多めにする:葉ものは花より単価が低いので、量を確保しながら金額を下げられます。ナチュラルな雰囲気にも寄せられます
- キャンドルや花器で見せる:大小のキャンドルを並べるだけでも卓上が埋まります。花を主役にしない構成にする考え方です
- 造花は場所を選んで使う:ケーキ入刀のナイフやキャンドルの点火棒に添える花、挙式会場の装花などは、ゲストが間近で見る場所ではないため造花でも気づかれにくくなります。逆に高砂やゲストテーブルは目の前で見られるので向きません

削らないほうがいい|高砂まわり
高砂は集合写真と歓談中の写真に必ず入る場所です。ゲストがスマートフォンを向けるのもここになります。金額としては最も大きい項目ですが、削った影響がいちばん残るのもここです。
減らすならゲストテーブルから検討するほうが、写真への影響を抑えられます。費用のかかりにくい演出はお金がかかりにくい演出アイデアにまとめています。
装花は持ち込みで安くなるのか
節約の手段として持ち込みを考える人は多いのですが、会場装花については持ち込めないことが多いのが実情です。
- 設営と撤収の時間が限られる:披露宴が始まる直前に飾り、終わったらすぐに片づける必要があります
- 衛生面の管理が要る:料理が並ぶテーブルに飾るものなので、会場側が状態を管理できない持ち込みは受けにくくなります
ただし同じ会場装花でも場所によって扱いが違います。料理が並ぶテーブルまわりは断られることがほとんどですが、ウェルカムスペースなら持ち込みを認めている式場もあります。ここは一括りにせず、場所ごとに聞いてみる価値があります。
そのウェルカムスペースに実際いくらかけているのかは、ウェルカムスペースはいくらかかる?にまとめました。用意した人の51.3%は0円で、装花を流用したり会場の備品を借りたりして済ませています。
そしてブーケは持ち込みのハードルがもっとも低く、持ち込み料を払えば受け入れる式場が多く、料金を取らない式場もあります。持ち込みを検討するなら、まずブーケから考えるほうが現実的です。
POINT:持ち込みで得になるかは、本体の代金と持ち込み料を足した合計で比べないと分かりません。同じ考え方は引き出物の持ち込みと式場注文の比較でも解説しています。
ただしブーケの持ち込み料は、1点につき3,000円から2万円程度とされていて、下限と上限で6倍以上の開きがあります。ブーケ本体は式場を通すと2万円から5万円、外部の花屋に頼むと1万円から3万円ほどなので、持ち込み料がいくらかで結論がひっくり返ります。3,000円ならはっきり安く済み、2万円なら差がほとんど消えます。
しかも持ち込み料は1点ごとにかかり、ブーケは平均1.8個用意されるとされています。計算の立て方は結婚式のブーケで詳しく分解しました。
ただし式場によって持ち込み料の設定はかなり違うので、金額を聞いてから計算してください。
装花は、当日の項目でいちばん満足度が低い
同じ調査に、結婚式当日の内容についての満足度があります。会場の飾りつけ(装花など)は、満足62.9%、不満13.9%でした。当日の7項目を、満足の高い順に並べます。右が不満の割合です。
- 進行やタイムスケジュール:71.7%/7.9%(692人)
- 写真や動画:71.4%/9.4%(567人)
- 飲み物:70.2%/11.5%(692人)
- ゲストとのやりとり:69.2%/10.4%(692人)
- 料理:66.1%/11.6%(692人)
- 演出の内容:63.8%/11.5%(817人)
- 会場の飾りつけ(装花など):62.9%/13.9%(817人)
7項目のなかで、装花は満足がいちばん低く、不満がいちばん多いという結果です。項目ごとに母数が違いますが、この並び自体は動きません。
なお、この調査は理由を聞いていません。ここから先は推測になりますが、装花は実物を見ないまま決めて、当日はじめて完成形を見る項目です。サンプルや写真で見たものと、会場に置かれたときの見え方が違う。ずれが起きやすいのは、そこだと思います。
だからこそ、数字で確認できることは打ち合わせの段階で先に潰しておく価値があります。
打ち合わせで聞いておくこと
装花の打ち合わせは、実物を見ながら感覚で決めていくと積み上がります。数字で確認できることを先に聞いておくと、判断が楽になります。
- 初回見積もりの装花はどのランクか:下限の設定なのか、標準的な内容なのかで、その後の増え方が変わります
- 1卓の人数と卓数:ここが決まらないと総額が出ません
- 1卓のランクを上げるといくら増えるか:卓数分かかるので、1卓あたりの差額に卓数を掛けた金額で考えます
- 持ち込みの可否と料金:会場装花とブーケで扱いが違うので、分けて聞きます
- 式のあとの花をどうできるか:持ち帰りやゲストへのお裾分けができる会場もあります
準備全体の進み方は式場決定後にやることリストで確認できます。
よくある質問
Q. 造花を使ってもいいですか?
会場によります。生花より安く抑えられることがあり、扱いも楽ですが、提携の花屋が生花しか扱っていない場合もあります。造花を検討するなら、打ち合わせの早い段階で可否を聞いておくと安心です。
Q. 季節によって金額は変わりますか?
変わります。旬の花は安く手に入り、季節を外れた花は高くなります。特定の花にこだわらず「この季節にきれいなもので」と任せるほうが、同じ予算でも量を確保しやすくなります。
Q. ウェディングケーキに花を飾れますか?
飾れますが、生ケーキの場合は食用として育てられた花に限られます。観賞用の生花をそのまま口に入るものに飾るのは衛生面から避けられます。イミテーションケーキなら食べないので自由に飾れます。詳しくはウェディングケーキの選び方で解説しています。
Q. 装花を減らすと寂しく見えませんか?
ゲストテーブルは、花の量よりもキャンドルや小物との組み合わせで印象が変わります。花を減らすぶん花器や配置で見せる方法もあるので、寂しくならない範囲を花屋に相談してみてください。
Q. 少人数や家族婚だと安く済みますか?
ゲストテーブルの卓数が減るぶんは下がります。一方で高砂は場所が1つなので、卓数のようには減りません。人数に比例する部分と、しない部分があるということです。
この見方は費用全体にも当てはまります。調査は費目を「招待客人数によって変動する費目」と「変動しない費目」に分けていて、変動する側に入るのは料理と飲み物、ギフトの2つだけです。一覧は結婚式の料理の相場にあります。装花はそこでは変動しない側に置かれていますが、実際にはこのページで見たとおり卓数で動きます。
そのため少人数になるほど、総額に占める高砂の割合が大きくなります。ただし少人数向けのプランでは高砂の規模自体を小さくすることもあり、長テーブル1本にまとめる形なら高砂とゲストテーブルの区別がなくなります。少人数で検討しているなら、その人数での見積もりを出してもらうのが確実です。費用と進め方は少人数結婚式・家族婚の費用相場で整理しています。
Q. 式が終わった花はどうなりますか?
会場によって扱いが異なります。処分される場合もあれば、持ち帰れる場合、ゲストにお裾分けできる場合もあります。持ち帰りたいなら包む袋の用意が必要になることもあるので、事前に聞いておくと当日慌てません。
まとめ
- 装花は一式いくらではなく、飾る場所ごとの積み上げで決まる
- 総額を動かすのはゲストテーブルの卓数。1卓の人数が変われば卓数が変わる
- 高砂は5万円から10万円、ゲストテーブルは1卓3,000円から1万円が目安
- ただし実測は58.3%が5万円未満で、平均7.4万円。積み上げの16万円台後半から18万円は、15万円から20万円未満の帯(6.3%)にあたります
- そもそも3組に1組(34.0%)は会場装花を使っていません。使ったのは66.0%です
- 40歳以上は使う割合が58.8%で最低なのに、使ったときの平均は8.8万円で最高。使う人は減るが、使う人はかけます
- 当日の7項目のなかで装花の満足度62.9%がいちばん低く、不満13.9%がいちばん多い項目でした
- 上がるのは手数料・技術料・予備の仕入れが乗るため。初回見積もりは下限のことが多い
- 削るなら花の種類を任せる、生け方を簡単にする、色と予算だけ伝える
- 高砂は写真に必ず残るので最後に削る。減らすならゲストテーブルから
- 挙式をするなら祭壇とチェアフラワーが別に必要。チェアフラワーも列の数だけ積み上がる
- 会場装花は持ち込めないことが多い。持ち込むならブーケから検討する
- 数字はリクルートブライダル総研 結婚マーケット調査2025(トレンド編)。使用状況と満足度は817人、費用は303人が母数です
装花は「いくらかかるか」ではなく「何をいくつ置くか」で決まります。卓数と場所を先に数えてしまえば、あとは1か所ずつ予算を当てはめるだけになります。