結婚式をするかどうかで迷っているなら、まず全体の分布を見てください。結婚した人のうち、挙式・披露宴・食事会・写真撮影のどれもしなかった人が26.5%います。
そして組み合わせ別に並べると、この「何もしない」がいちばん大きなかたまりでした。全部やる人より多いということです。
数字はリクルートブライダル総研の結婚マーケット調査2025(821人)です。なおこの調査の実施率には、すでに行った人に加えて、時期や内容がほぼ決まっている実施予定の人も含まれます。
いちばん多いのは「何もしない」26.5%
挙式、披露宴、結婚を機とした食事会、写真撮影。この4つをどう組み合わせたかで分けると、次のようになります。
4つのうちどれか1つでも行った人は73.5%、まったく行わなかった人が26.5%です。「しない」は少数派の選択ではありません。
小さくやる形も例外ではありません。結婚式のゲストは夫側24.5人・妻側23.0人のとおり、披露宴または食事会をした人でも、片側のゲストでいちばん多いのは10人未満(夫側32.5%・妻側31.0%)でした。食事会だけを実施した154人では、平均が夫側10.8人・妻側12.0人です。
そのうえで注目してほしいのが写真撮影だけの16.3%です。4つ全部そろえた19.1%と、大きくは変わりません。写真だけ残すという形が、すでに定番のひとつになっています。
しない理由の1位は、お金ではない
ここが意外なところです。挙式をしなかった人に理由を聞いた結果は、こうなっています。
- 挙式に興味がなかったため:38.3%
- 他のことにお金をかけたいと思ったため:26.9%
- 十分な資金がなかったため:25.1%
- 結婚式はお金と手間がかかるイメージがあったため:22.4%
1位は「興味がなかった」です。「十分な資金がなかった」は3位で、25.1%にとどまります。
お金の側から見ても同じことが言えます。結婚資金の貯金、していない人が32.7%のとおり、結婚のための貯金をしていなかった人は32.7%います。貯めていないことと、やらないことは直結していません。親からの援助を受けた人が65.9%いるからです。
しかもこの並びは、ほかのイベントでも変わりません。
- 披露宴:興味がなかった39.6%、他のことにお金23.3%、資金不足22.4%の順
- 結婚を機とした食事会:興味がなかった30.7%、他のことにお金19.0%、資金不足17.9%の順
新生活の準備も同じ形です。結婚しても引っ越さない人が38.0%のとおり、新居を用意しなかった57.6%、引っ越しをしなかった38.0%、クルマを買わなかった67.6%。「結婚したら一式そろえる」という前提のほうが、もう多数派ではありません。
どの項目でも「興味がなかった」が1位で、資金不足は3位です。「お金がないからできない」という前提は、データの上では最大の理由ではありません。
これは判断のしかたに直接効きます。安く済ませる方法をいくら並べても、そもそも関心がないなら答えになりません。逆に「他のことにお金をかけたい」26.9%は、資金がないのではなく優先順位の問題です。ここも「安くする」では解けません。
その「他のこと」のひとつが新婚旅行です。新婚旅行に行かない人は24.2%にまとめたとおり、行った人は42.8%、行かなかった人は24.2%でした。やらない選択が2割から3割いるという形は、式でも指輪でも旅行でも同じです。
プロポーズも同じでした。プロポーズなしで結婚した人は13.7%のとおり、なかった人が13.7%います。費用がかからない工程でも、やらない人は一定数いるということです。
自分がどれに当てはまるのかを先に決めてください。お金の問題なら削り方の話になり、関心の問題なら別の形を探す話になります。削り方は少人数結婚式・家族婚の費用相場と会費制の結婚式・1.5次会にまとめました。
関心の側から動かす材料もあります。結婚式をやる気にさせるもののとおり、何があれば実施したくなるかを26項目で聞くと、1位は「妊娠している、または子どもがいても実施をサポートしてくれるプランがある」の58.3%でした。「低予算でできる」は3位の55.0%です。お金以外の条件のほうが上に来ています。
この「お金なのか関心なのか」という切り分けは、婚約指輪でもそのまま使えます。婚約指輪は必要?では「いらない」の中身を、関心がない・遠慮している・優先順位が下、の3つに分けました。遠慮なら金額を下げれば解けますが、関心の問題は安くしても解けません。
結婚指輪でも同じ形が出ます。結婚指輪を用意しなかった14.2%のとおり、いずれも用意しなかった人は夫側14.2%・妻側14.4%でした。この調査は結婚式をしたかどうかに関係なく821人全員に聞いていますので、式をしない人だけの数字ではありません。

「7割が後悔」という数字をどう受け取るか
結婚式をしない選択を調べると、「7割が後悔している」という数字によく行き当たります。これは無視できないので、出どころを確かめました。
出どころとして挙げられているのはリクルートブライダル総研の結婚総合意識調査2019で、71.5%が「結婚式を挙げなかったことを心残りに思っている」という数字だとされています。
ただし正直に書いておきます。この記事を書いた時点で、調査報告書そのものを確認することはできませんでした。数字を紹介している記事はいくつもあるのですが、いずれも報告書へのリンクがなく、孫引きで広まっている可能性があります。
そのうえで、この数字を受け取る前に押さえておきたい点が3つあります。
- 「後悔」ではなく「心残り」:紹介されるときに言葉が強くなっています。心残りがあることと、選択を間違えたと思っていることは別です
- 2019年の数字:この記事で使っている実施率の調査は2025年のものです。年が違います
- この調査シリーズは統合された:結婚総合意識調査は2025年から結婚マーケット調査に統合されており、同じ設問が引き継がれているかは確認できませんでした
もうひとつ。この数字を大きく取り上げているのは、式場紹介サービスや結婚式場の記事が多いという点です。数字そのものは本物でも、どこが強調しているかは見ておいて損がありません。
この記事の立場は「後悔するとも、しないとも断定しない」です。そのかわり、あとから取り返せるものと取り返せないものを分けて考えることをおすすめします。
- あとから取り返せる:写真を撮る、食事会を開く、親族に挨拶に行く
- 取り返しにくい:そのときの年齢の親と一緒に写る、祖父母に晴れ姿を見せる
心残りとして挙がりやすいのは、後者に集中します。逆に言えば、そこだけ手当てすれば「しない」という判断は成立します。
やった人が何を得たのかも、数字で見られます。結婚式をやってよかったことのとおり、1位は「相手の家族・親族と親交を深められた」と「特別な衣裳を着られた」の同率77.0%。一方で「自己肯定感が高まった」は56.1%で最下位でした。やれば何もかも得られる、という数字にはなっていません。
「写真だけ」という選択
組み合わせ別で2番目に多かった形です。写真撮影の実施率を細かく見ると、次のとおりでした。
- スタジオ撮影:43.9%
- ロケーション撮影:32.0%
- エンゲージメントフォト:17.7%
写真だけを選ぶ理由は、費用だけではありません。
- ゲストを呼ばなくていい:誰を呼ぶかで悩まずに済みます
- 衣装は着られる:ドレスや白無垢を着たいという希望は満たせます
- 形に残る:親に見せられるものができます
時期と費用の考え方は結婚式の前撮りはいつ・いくら?に、撮影場所の候補は東京・神奈川・千葉の前撮り人気スポットにまとめています。
撮った人が何をよかったと言ったかも出ています。前撮りをしてよかったことのとおり、よかったことの1位は写真そのものではなく、準備期間に二人で決めたことで38.8%でした。逆によくなかったことの上位4つは全部「人」に関することで、1位は「友人など親・親族以外の方に感謝の気持ちを十分に伝えられなかった」で20.4%です。写真だけにするなら、そこに誰を呼ぶかで後の感じ方が変わります。
注意点をひとつ。前撮りは「式の前に撮る」ものですが、式をしないなら呼び方が変わるだけで中身は同じです。フォトウェディングとして申し込めば、式を前提にしないプランを案内してもらえます。
いくらかかるのか
目安はこうです。スタジオで撮るか、外で撮るかで変わります。
- ロケーション撮影:20万円から40万円ほど。移動の費用が入るぶん高くなります
- 洋装だけのプラン:10万円から15万円ほど
- 和装だけのプラン:15万円前後
- 洋装と和装の両方:25万円前後
プランに含まれるのは、撮影データ、ヘアセット、メイク、着付け、衣装、ブーケや小物あたりです。含まれる範囲は会社によってかなり違うので、見積もりの段階で確認してください。
追加でかかりやすいのが移動と場所の費用です。人気の観光地や遠方だと交通費だけで数万円、撮影場所の使用料が1か所あたり1万円から3万円かかることがあります。ここは結婚式の会場装花はいくらかかる?で扱った持ち込みの考え方と同じで、本体価格だけを見ても総額は決まりません。
挙式と披露宴をどちらも行った場合の総額が平均298.6万円であることを考えると、桁がひとつ違います。ここが写真だけを選ぶ人が多い理由です。

食事会という中間
もうひとつの受け皿が、結婚を機とした食事会です。実施率は33.8%で、挙式48.9%や披露宴43.1%ほどではないものの、決して少なくありません。
披露宴との違いは、演出と進行がないことです。親族が中心で、会食をして解散します。挨拶はしても、余興や中座はありません。
この形が向くのは、親が「何かはしてほしい」と言っている場合です。両家が顔を合わせる機会は作れるので、いちばん角が立ちません。結納はするべき?で扱った顔合わせの延長として組むこともできます。
再婚で迷っている場合は、もうひとつ見ておきたい数字があります。再婚・子連れで結婚式を挙げるのとおり、出回っている「再婚は92.1%が何もしていない」は再婚した人が分母で、式を挙げた人のうち再婚だったのは16.5%です。分母が逆なので、並べて比べられません。
費用の考え方は少人数結婚式・家族婚の費用相場が近くなります。人数が減っても1人あたりは上がるという構造は、食事会でも同じです。

しないと決める前に確認したいこと
親に先に相談する
結納と同じ構造です。二人で決めてから伝えると、決定の押しつけになります。親が「何かはしてほしい」と考えていることがあります。
相談の形で切り出すと角が立ちません。そのうえで、食事会や写真という中間の選択肢があることを一緒に示すと話が進みます。「やらない」だけを伝えると、そこで止まります。
親がなぜ何かしてほしいと言うのか。手がかりは、やった人の理由のほうにあります。披露宴をやる理由のとおり、披露宴や食事会をやった理由の上位3つは全部「親・親族」で、1位は「親・親族に喜んでもらうため」44.7%でした。やった側も、親のためだと答えています。
あとからでもできる
いま決めきる必要はありません。入籍してから数年後に写真を撮る人も、子どもが生まれてから家族で撮る人もいます。式を挙げないと決めても、その判断を将来まで縛る必要はありません。
報告のしかたを決めておく
式をしないと、結婚を知らせる機会が自動的には来ません。招待状という形がないので、自分から動くことになります。
- 職場:手続きが発生するので、遅くとも入籍の前後には伝えます
- 親族:親から伝えてもらう形が多くなります。親の顔が立つように、順番だけ決めておいてください
- 友人:まとめて知らせると招待を待たれません。「式は挙げないことにした」と添えるのが親切です
写真を撮ったなら、それを報告の材料にできます。はがきやメッセージに1枚添えるだけで、式がなくても伝わる形になります。
お祝いをもらったら返す
ここは式の有無と関係なく発生します。結婚式をしなくても、結婚祝いは届きます。実際、内祝いの実施率は45.1%で、披露宴の43.1%を上回っています。
いくらかかるかも出ています。結婚内祝いの総額は平均23.9万円のとおり、金額を答えた186人の平均は23.9万円。12万円未満が57.9%いる一方で、33万円以上も18.0%います。式をしないと引き出物で返す機会がないので、この費目は残ります。
お返しの相場と時期は結婚内祝いのマナーガイドにまとめました。式をしないと決めた時点で、ここだけは段取りを作っておいてください。
よくある質問
Q. 結婚式をしないと後悔しますか?
この記事で扱った調査に、後悔したかどうかのデータはありません。断定はできません。
言えるのは、あとから取り返しがつく部分とつかない部分があるということです。写真は数年後でも撮れます。一方で、そのときの年齢の親と一緒に写れるのは、そのときだけです。ここを分けて考えてください。
Q. 指輪も要りませんか?
式とは別の判断です。結婚指輪の実施率は74.4%で、挙式の48.9%よりずっと高くなっています。式をしない人も指輪は用意している、という形です。選び方は結婚指輪の選び方完全ガイドにあります。
Q. 職場や友人にはどう伝えますか?
式をしない場合でも、報告そのものは必要です。「式は挙げないことにしました」と一言添えると、相手も招待を待たずに済みます。伝えないままだと、相手は招待状を待ち続けます。
Q. 親族への挨拶はどうしますか?
式がないと、親族に会う機会そのものがなくなります。食事会を1回入れておくと、この問題が解決します。実施率33.8%という数字には、こうした目的の会も含まれていると考えられます。
まとめ
- 挙式・披露宴・食事会・写真のいずれもしなかった人が26.5%で最も多い
- 写真だけの16.3%が、4つ全部の19.1%に迫っている
- しない理由の1位は「興味がなかった」38.3%。資金不足は3位の25.1%
- お金の問題なら削り方の話、関心の問題なら別の形の話。分けて考える
- 親には相談の形で切り出し、中間の選択肢を一緒に示す
- 式をしなくても結婚祝いは届く。内祝いの段取りだけは作っておく
やる方向で考えるなら式場決定後の流れから、規模を抑える方向なら少人数結婚式・家族婚の費用相場から進めてください。